11月から乳製品を値上げする乳業メーカー。その要因は、世界的な穀物不足と円安による乳牛の餌の高騰だ。飼料は全ての経費の半分以上を占めていて、新潟県内の酪農家は、これまで経験のない打撃に直面している。

廃業を決断する酪農家も… 円安でウシの餌が高騰

松村道子キャスター:
新潟市西蒲区の牛舎では約60頭の乳牛が飼育されています。1頭につき、餌を一日20kg食べるということなのですが、この餌が円安によって今、かつてない値上がりを見せています

値上がりするウシの餌
値上がりするウシの餌
この記事の画像(15枚)

北陸酪農業協同組合連合会 藤田毅さん:
配合飼料はトウモロコシが中心の穀物。非常に高くなって、去年より約3割上がっていると思う

配合飼料
配合飼料

配合飼料に加え、牧草も約3割高騰。いずれも輸入で賄われているウシの餌。世界的な穀物不足で生産量が減っていることに加え、現在の円安が価格を引き上げている。

牧草も高騰
牧草も高騰

北陸酪農業協同組合連合会 藤田毅さん:
健康でないと、良い牛乳は出ないから、餌は一番大事なところ

飼料は全ての経費の半分以上を占めていて、価格高騰は酪農家にとって大きな打撃だ。

北陸酪農業協同組合連合会 藤田毅さん:
今までも為替は変動してきたが、円安がここまできたのは初めてだと思う

生乳の価格高騰を受け、11月から大手乳業メーカーは最大で10%ほどの値上げを発表。藤田さんが会長を務める北陸酪農業協同組合連合会も地域の乳業メーカーと価格交渉を行った。

北陸酪農業協同組合連合会 藤田毅さん:
酪農家の現状をしっかり話して、何とかお願いできた。メーカー側も酪農家をなくすわけにはいかないので、何とか納得していただいた

交渉の結果、11月から1kg当たり10円の値上げで合意。

一方、2022年度に入り、県内に約140軒ある酪農家のうち9軒が廃業を決断するなど、いま酪農が岐路に立たされていると感じている藤田さん。中でも、若手の酪農家が「転職できるうちに」と、廃業を決めたことはショックだったと話す。

新潟県内で9軒が廃業
新潟県内で9軒が廃業

北陸酪農業協同組合連合会 藤田毅さん:
この先の予測は非常に厳しいものがある。飼料価格が元に戻ることは考えられないと思っているので。はっきり言って、輸入依存は対策が限界にきている

地元のもので餌作りも… 値上げによる“消費低迷”を懸念

為替の変動など外的な影響を避けるため、藤田さんは餌の国産化の必要性を訴える。見せてくれたもう一つの餌は…

北陸酪農業協同組合連合会 藤田毅さん:
これは地元、うちの田んぼで作っている

地元のもので作った餌
地元のもので作った餌

(Q.トウモロコシだけではない?)
北陸酪農業協同組合連合会 藤田毅さん:
トウモロコシの茎や葉っぱが入っている。これを食べさせると牧草も減らせるし、配合飼料も減らせる

「餌の国産化」という大きな転換が課題となる一方で、目下の心配は11月の値上げを受けた牛乳の消費低迷だ。

北陸酪農業協同組合連合会 藤田毅さん:
牛乳は生産するのに色々な要因を持って、健康な牛を作った中で牛乳が生産されている。牛乳の消費を何とか保っていっていただければ助かる

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
NST新潟総合テレビ

新潟の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。