プロ野球ドラフト会議で広島カープから2位指名を受けた内田湘大選手が10月22日、故郷・長野県小海町に戻った。自宅に“専用バッティングセンター”を作るなど、支えてくれた車いす生活の父を始めとする家族に、感謝の言葉を伝えた。

最速149キロ・高校通算36本塁打の「二刀流」

広島カープから2位指名を受けた内田湘大選手。進学した群馬県の利根商業高校では、投手としては最速149キロをマーク、打者としては高校通算36本塁打を放ち「二刀流」の活躍を見せた。

内田湘大選手(会見)
しっかりと頑張っていきたいと思っています

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指名から2日後、湘大選手は同じ利根商野球部の双子の兄・耀晴さんとふるさと・小海町に戻った。家にはこれまでの活躍の「証し」があった。

内田湘大選手
これは自分がホームラン打った日と、何本目打ったか、どこの高校で打ったかを記念してとっておいたボール

高校に駆けつけ、一緒に指名の瞬間を見守った両親は…

母・智美さん
まさか2位でとは思っていなかったので、驚いたのが(一番)

父・清司さん
ビックリしましたね。頼もしく見えるようになったので、少しは実感が出てきたかなと、よく頑張ったと思います

父・清司さんは大学生のときに交通事故に遭い、頚髄を損傷。首から下にまひが残り、車いす生活を送っている。

父・清司さん
子どもたちが小学生くらいの頃には、キャッチボールを一緒にしてあげられたらいいなという思いはずっとありました。それができないもどかしさっていうのはありました

父親が作った“自宅練習場”で打力を磨く

野球好きの息子たちのために…。
清司さんはいつでも練習ができるよう自宅の敷地にネットを張り、バッティングマシンを購入。内田選手は学校から帰るとこの“専用バッティングセンター”で毎日のように練習した。

内田湘大選手
すぐ近くに練習場があったので、そこはすごくありがたかった。打ったボールがあそこ(屋根の一部)に貫通しちゃって(穴が)開いちゃう

小学6年生からは、周囲の勧めもあり兄と共に群馬県のクラブチームに入った。練習は最低でも週4日、車で片道1時間半かけて、両親が送り迎えをした。

母・智美さん
送迎の方は時間はかかりましたけど、その分すごく楽しく送迎できたので、苦と思ったことは一度もないです。(体づくりで)おにぎり1人9個っていうのが売りの野球部だったので、どういうおにぎりだと食べてくれるかなって考えて作るのが大変でした

高校は、かつて桐生第一を甲子園優勝に導いた名将・福田治男監督が率いる利根商業へ進み、寮生活を送ってきた。身長183センチ、体重89キロの体格を生かして頭角を現し、いつしか目標としていた兄に追いついていた。

内田湘大選手
自分は兄より劣っている部分が多かったので、一番身近にライバルがいたっていうのはここまでの成長に影響したので、兄の影響はすごい良いものだった

兄・耀晴さん
高校のときもがむしゃらにやっていたので、プロでもがむしゃらにやってほしい。取れるタイトルは全て取ってほしい

プロでも「二刀流」に挑戦する意向の内田選手。両親をはじめとする支えてくれた人への感謝を胸に活躍を誓った。

内田湘大選手
サポートとかなければここまで来られていないので感謝しかないというか、感謝してもしきれないくらいです。厳しい世界にはいくんですけど、今まで通り自分らしく大好きな野球を一生懸命プレーしていきたい

指名あいさつで語った抱負 「未来の4番に」

10月26日、広島カープの担当スカウトが指名のあいさつに訪れた。

広島カープ・高山健一スカウト
(新井)監督がどうしても『将来の大砲として内田選手がほしい』と

内田選手は投手も兼ねる「二刀流」だが、球団側は野手として育てる方針だ。

高山健一スカウト
高山健一スカウト

広島カープ・高山健一スカウト
体の強さ、遠くに飛ばせる打撃が魅力。『鈴木誠也みたいな選手になりたい』という思いがあるようなので、ああいう選手になってほしい

新井新監督がドラフト会議で使ったIDカードを贈られた内田選手。あらためて意気込みを語った。

広島から2位指名・内田湘大選手
改めて身が引き締まる気持ちというか、これから頑張っていこうと。野手で『未来の4番を担ってほしい』みたいなことを言われたので、そのようになれるように頑張っていきたい

(長野放送)

長野放送
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