「2営業日連続の介入」観測

政府・日銀が、21日深夜に続き、週明けの24日にも円買い介入を行ったとの見方が広がっている。

この日朝の東京市場の円相場では、一時1ドル=149円台後半まで円安が進んだあと、午前8時半すぎから急速に円が買われ、約10分間で一気に4円ほど上昇した。

激しい動きに市場では、又もや円買い介入が実施されたとの見方が強まった。

この介入には一体いくらの金額が使われたのか。

政府・日銀が円を買う介入を実施すると、日銀の当座預金から資金が政府の国庫に移り、当座預金残高が減るしくみだ。

決済は2営業日後に行われるので、24日に介入が実施された場合、26日、つまり、きょうの残高に反映される。

24日の介入は1兆円か

日銀がさきほど発表した26日の当座預金残高の速報値によると、「財政等要因」による減少額は約1.5兆円で、きょう、ほぼこの額の資金が国庫に移動したことになる。

資金取引の仲介会社が行った当初の予想では、減少額は3000億円から5000億円となっていたので、1.5兆円からこの金額を差し引いた分、1兆円から1.2兆円程度が介入に使われた金額だと推測される。

政府・日銀が21日深夜に踏み切った円買い介入では、1時間半ほどの間に円相場を円高方向に5円以上反転させたが、このときは、5.5兆円規模の資金が使われたと見られている。

24日朝に、4円を超えて円高へと動いた際に、1兆円から1.2兆円を使って介入が行われていたとしたら、21日のケースと比べて、より少ない金額で、円売りにストップをかけられたことになる。

海外市場が終わって東京市場に移る取引の薄い時間帯だったことが効果を大きくした可能性がある。

一連の介入総額は10兆円に膨らむ可能性

9月22日に行われた当初の介入額は、2.8兆円だ。

一連の介入の累計額は10月21日夜の介入で使われたとみられる5.5兆円と、24日の推測額1兆円から1.2兆円を加えて、合計で10兆円に迫る規模に膨らむ可能性がある。

政府は、9月の介入の際公表したスタイルとは打って変わり、実施したかを明言しない「覆面介入」という手法をとっている。行ったかどうかをあいまいにして、過度な円売りをためらわせる狙いがあるとみられ、市場関係者からは「いつ介入が入るかわからないという警戒感が続き、一定の効果があるように見える」との声も聞かれる。

時間稼ぎの円買い

ただ、日米の金利差拡大を意識した円売りドル買いの流れは変わっておらず、円買い介入は、アメリカの利上げペースが減速するまでの時間稼ぎでしかない面が強い。

「覆面介入」に方針を転じて行われている円買いにはどの程度の規模の金額が投じられたのか。その規模は、月末に財務省が公表する数字で明らかになる。

(フジテレビ経済部 兜・日銀キャップ 茅野朝子)

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茅野 朝子
茅野 朝子

フジテレビ経済部 兜・日銀キャップ
信託銀行から転職後、経済部で民間企業、経産省、日銀などを担当。2021年に9年ぶりに経済部に復帰。