私がお伝えしたいのは、「家具や家電の保険負担額が大幅アップ」です。

火災保険の人気プランのひとつ、家具や家電を壊してしまった場合などに備える「家財補償」。
現在は自己負担を最低1万円以下の金額で設定できますが、10月契約分から損害保険大手4社は一律5万円に引き上げます。
その理由は、もちろん保険金請求が急増しているからなんです。

ポイントはこちら。「新型コロナの感染拡大で家具・家電が壊れるワケ」

損害保険大手4社(東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険)が今回 自己負担額を引き上げるのは、誤って家具やテレビを倒してしまう、給水管の破裂で家具が水浸しになるなど、日常生活で起きる不測の損害が対象で、火災や台風などの災害による被害は含まれません。

損保各社は、建物の被害に加えて、身近に起きる家具などの損害をカバーできることをウリに保険の加入を顧客に勧めてきましたが、コロナ禍で家財補償の請求が急増しているといいます。
ある損保大手では、テレビやパソコンなどの家電製品を汚したり壊したりした損害がコロナ前に比べ、約4割も増えているというのです。
背景には、在宅勤務や学級閉鎖などで、家族の在宅時間が長くなったことがあるとみられています。
別の損保大手の関係者は、「このまま自己負担額を引き上げなければ、火災保険全体の損害率が上昇し、中長期的に保険料の値上げにつながるおそれもあり、持続的・安定的に火災保険を提供するための改定」だと話します。
ただ、食品など生活必需品の相次ぐ値上げに苦しむ家計にとっては追い打ちとなりそうです。

茅野 朝子
茅野 朝子

フジテレビ経済部 兜・日銀キャップ
信託銀行から転職後、経済部で民間企業、経産省、日銀などを担当。2021年に9年ぶりに経済部に復帰。

経済部
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「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
世界的な課題となっている温室効果ガス削減をはじめ、AIや自動運転などをめぐる最先端テクノロジーの取材も続け、技術革新のうねりをカバー。
生産・販売・消費の現場で、タイムリーな話題を掘り下げて取材し、映像化に知恵を絞り、わかりやすく伝えていくのが経済部の目標。

財務省や総務省、経産省などの省庁や日銀・東京証券取引所のほか、金融機関、自動車をはじめとした製造業、流通・情報通信・外食など幅広い経済分野を取材している。