子供たちの夢をのせてスタートした日本の南極観測。
タロジロの奇跡の生還が映画になるなど数々の物語を残してきた南極地域観測隊。
その観測隊にとって、最も重要な“居住施設”を担当する越冬隊員がいる。
大手住宅メーカー・ミサワホームの熊倉聡泰さんだ。
11月に出発する第64次南極地域観測隊に参加して、一年以上に渡り南極に滞在し、老朽化した居住区に代わる新しい施設などの基礎工事を担当するほか、昭和基地の建物の保守点検作業を担う。
極寒の地・南極ならではの工夫も
頑丈にできた建物でも、ブリザードがあるマイナス50℃の世界では、繋ぎ目からひび割れが起きたり鉄の部品が腐食したりするという。
こうしたことから、建物には極寒の地・南極ならではの様々な工夫が施されている。
建物の壁になるパネル。南極で蓄積された実績と経験から強度の高いパネルが完成した。
構造体としての強度はもちろん、高い断熱性や施工性も求められる。
例えば、パネルを組み合わせる金具。南極では研究者や調理担当も建設作業に参加するため、釘などを使わなくても建てられるようになっているのだ。
南極で月の居住棟の実験
極寒で極乾燥の地、南極の環境は火星の表面と似ていると言われることがあるが、ミサワホームは、月で人類が生活できるための居住棟の実験を、南極大陸でJAXAや国立極地研究所とともに実施している。
現在、日本の観測基地の一つ「ドームふじ」に居住実験棟を設置していて、2023年から隊員の活動拠点として活用される予定だ。