2022年9月の台風14号では、大分川や駅館川など大分県内の20の川で一時、氾濫危険水位を超えた。
水害時、街や人々を守る砦となるのが「ダム」。
大分県竹田市に建設中の「玉来ダム」を取材した。
過去、何度も氾濫した玉来川
竹田市にある玉来ダム。
玉来川の上流部にあり、最大400万トンの水をためることができる。
玉来川流域では1990年の豪雨で氾濫が発生し5人が亡くなったほか、2012年の九州北部豪雨では2人の命が奪われるなど甚大な被害が出た。

台風14号では被害減に一役
2022年9月の台風14号では、竹田市で降り始めからの総雨量が404ミリに及び、わずか3日ほどの間に9月・1ヵ月の平年値の1.5倍以上の雨に。

当時、玉来ダムは本格運用を前に試験的に水をためる、試験湛水の最中であった。
満水まで40日かかる想定だったところ、わずか2日で満水になり放流が行われた。

県・玉来ダム建設事務所 梶原修治所長:
平成2年の豊肥水害に匹敵するぐらいの雨量があった。(玉来ダムに)安全に水を貯めることができた。その分、玉来川の下流に流れる分を抑えられたので洪水の危険度は随分抑えられたと考えている
今回の台風14号では、5人の死者を出した1990年の水害に匹敵するほどの雨量であったということだが、玉来川で氾濫は発生しなかった。
県内初の「流水型」 生態系への影響も最小限に
早速、治水の役割を果たした玉来ダム。
県内初の「流水型」のダムで、ダムの下の部分の通り道から常に水が流れている。
普段は水をためないため土砂が堆積しにくく、上流と下流を魚が行き来できる。
ダム建設で問題となる生態系への影響を最小限にとどめているそうだ。

大雨で増水した時は穴の大きさの分だけ一定量の水が下流に流れる仕組みで、時間をかけて流すことで下流域の氾濫を防げるという。

ダム内部を探索
そんなダムの内部を今回、特別に見せてもらった。
ダム本体の中ほどにある扉から入っていく。

TOS田辺智彦キャスター:
通路があります。これは何のためのもの?
県・玉来ダム建設事務所 梶原修治所長:
点検のための通路ですね

この「監査廊」と呼ばれる通路を通り入口から18m、建物の6階分ほどの高さを降りていくと、長い横穴が開いた場所に出た。
ここで、ダムの水が漏れていないかや下流への放流量などを1分ごとに計測しているそう。隣にある管理事務所で異変を見逃さないように管理しているということだ。

県・玉来ダム建設事務所 梶原修治所長:
玉来ダムができることで洪水の危険度が随分抑えられるので、下流域の竹田市民の皆様方にとっては安心してもらえるのでは
(テレビ大分)