大きな太鼓をのせた山車が街を練り歩き、秋の深まりを告げる松江「鼕(どう)行列」が、3年ぶりに復活した。城下町に響く勇壮な鼕の音に、参加した打ち手、そして沿道から見守った市民も心を躍らせた。

この2年間はコロナ禍で中止…復活に喜びの声が続々

新型コロナの影響で2年連続で中止された、松江「鼕行列」。10月16日、3年ぶりに開催され、城下町に鼕の音が響いた。

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2022年は、保存会などあわせて14団体・約1,100人が参加し、復活を喜んだ。

参加者の男性:
待ってました! 本当に待ち望んでました!

参加者の女性:
息を吹き返したような感じです

復活を喜ぶ声は、観客からも。

見物客の男性:
僕もうれしいです。元気になれます

見物客の女性:
毎年見てたので、3年ぶりですごくうれしい。鼕を聞くと腹の方から力が湧いてくるような

鼕行列の起源は、古来から伝わる正月の「とんど行事」にまでさかのぼると言われている。

鼕行列のシンボル、「鼕宮」と呼ばれる山車は、旧城下町の町内会に受け継がれているが、住んでいる地域を問わず誰でも参加できるのが「鼕友会」。結成40周年を迎えた2022年は、約40人が参加した。

「3年分楽しみたい」親・子・孫3代で…

鼕を打つのは、伊豫美幸さん。鼕友会に参加して35年、欠かさず参加してきたベテランだ。

もちろん3人の子どもたちも。しかし、この2年間はコロナ禍で中止に。伊豫さんは、やるせない思いで過ごしてきた。

伊豫美幸さん:
気が抜けたような、さみしい2年でした。時折笛をふいてみたりとか

伊豫さんにとって家族の絆を強める一大行事でもあった鼕行列。3年ぶりの復活を、心から楽しみにしていたという。

伊豫美幸さん:
やっと。今からもうワクワクしてる。楽しみです

本番2カ月前の8月、練習がスタート。「ワクワク」は、「大好きな鼕を打てるから」だけではなかった。

伊豫美幸さん:
夢は孫も一緒に参加すること、今年はそれが叶いそうなので楽しみにしています

この2年で大きく成長した、孫の迅臣君が参加。親・子・孫3代での参加が実現する。

そして、いよいよ本番。

伊豫美幸さん:
待ちに待った鼕行列だったので、もうきょうは発散したいと思います! 3年分を楽しみたいと思います!

子どもたちと一緒に3年分の思いを込めて、ばちを振るう。そして、迅臣君も。伊豫さんの夢もかなった。

伊豫美幸さん:
エネルギー、発散しました! なにより、3年ぶりに鼕が叩けた。みんなで楽しく叩けたことは、本当にうれしいことでした

晴れ渡った秋空のもと、3年分の思いが込められた鼕の音は、いつにも増して高らかに響いていた。

(TSKさんいん中央テレビ)

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