コロナ禍が収束しない中、都会を離れた田舎暮らしが注目を集めている。2022年1月、大手出版社が発表した住みたい田舎ランキングで、島根・雲南市が2つの部門で1位となった。実際に移住した人に取材すると、その理由が見えてきた。
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島根県東部、人口約3万6,000人の雲南市が全国1位に。
地方の暮らしを特集・紹介する月刊誌「田舎暮らしの本」。ここで毎年発表される「住みたい田舎」ベストランキング。人口が同じ規模の123の自治体の中で、雲南市は「若者世代・単身者」と「子育て世代」の2つの部門で全国1位となった。
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人口3万人以上5万人未満のまち部門では、全国123自治体に街の制度や自然の豊かさなどをアンケートし、独自に集計。いったいなぜなのか、その理由を雑誌の編集長に聞いた。
「田舎暮らしの本」・柳順一編集長:
子育て環境も良くて、チャレンジする機会も設けられ、若者たちのやりがいにもなって能力も育まれる。東京から見たら信じられない。すごく進んでいるなと思う
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保育園に通う3人の保育料は無料
キーワードは2つ。1つめのキーワードは「子育て」。
雲南市は島根県内8市の中で、個人が負担する保育料が最も低く、子育て世帯の経済負担が軽いという。
山本典生さん(44)。大阪からの移住者だ。
農業を志し、やってきた山本さん一家。現在、妻・由香さんと、0歳から16歳の4人の子どもの6人家族。
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山本典生さん(44):
雲南市に来てからの子育てに関する情報、そういったところもいろいろ教えてもらったので、事前に情報が得られて助かった
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現在かかっている子育て費は、高校に通う16歳の長女の学費だけ。保育園に通う5歳の長男など、あとの3人の保育料は無料だ。
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支援はほかにも。
山本さんは「地域おこし協力隊」として、住民から草刈りや雪かきなどを請け負い収入を得ているが、この業務の委託料などとして、雲南市からも年間約300万円を受け取っている。
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山本典生さん(44):
市の方からも、「こういう(働き方)をするにはこんな制度もある」とかアドバイスをいただけたりするので、結構心強い。安心感につながっている
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地域で生活していくための手厚い資金的支援だ。
「バックアップがすごく整っている」
もう1つのキーワードは、チャレンジのしやすさ!
起業したい人はウェルカム。雲南市は、200万円を上限に起業のための資金の2分の1を補助する制度を設けている。
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こうした環境に背中を押された移住者が、足立竜太さんと志帆さん夫婦だ。
足立竜太さん(33):
やりたいことをやりやすい、バックアップがすごく整っている。力を入れられていて住みやすい
足立志帆さん(33):
ほんまに幅広い人、ウェルカムウェルカムみたいな感じの人の雰囲気ですかね。それに惹かれた
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飲食店を開くことを目標に、2年前に大阪から移住してきた。開店資金として約500万円を貯めていたが、店を始めるには十分とはいえない状態。このため、雲南市から約190万円の補助を受けた。
そして2021年11月、出雲湯村温泉に古民家を改修し、宿泊できるイタリアンレストラン「tsukaru(ツカル)」をオープンすることができた。
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足立竜太さん:
一歩を踏み出してしまえば、勝手に周りからどんどん動いていって
志帆さん:
(周りが助けてくれて)地域になじめていけた
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移住者が語る子育てとチャレンジ。この移住者に対する手厚い支援が評価され、2つの部門で1位を獲得したのだ。
課題は、移住・定住者を増やすこと
「注目の田舎」といえるが、課題も残されている。
雲南市うんなん暮らし推進課・桑原真由美さん:
全国にもれずに、雲南市も人口がどんどん減っていて高齢化率も高い
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「平成の大合併」の翌年、2005年の国勢調査で約4万4,000人だった人口は、2019年に約3万6,000人にまで減少。高齢化率も、この10年余りで10ポイント近く上昇した。
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雲南市うんなん暮らし推進課・桑原真由美さん:
外から来られる方はもちろん、今おられる方にもずっと住み続けたいなと思ってもらえるようなまちづくりを進めていきたい
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「住みたい田舎」ベストランキングに取り上げられたことをPR材料に、移住や定住者を増やしたいとする雲南市。人口増加に転じることはできるのか?取り組みは続く。
(TSKさんいん中央テレビ)