手書きの良さが見直されている昨今。大分の技術が結集した万年筆がファンに注目されている。一体、どんな万年筆なのだろうか。
企画から組み立てまでを大分で
大分県内の複数のものづくり企業が力を合わせて作った万年筆。その名も「STARDUST万年筆」。
企画から設計、加工、組み立てなどが全て県内で行われた。

企画したのは、「大分にこだわった、大分のいいもの」を企画・販売するOita Made。
3年前に大分の企業と「セーラー万年筆」とで万年筆を作ったことがあり、それは現在も順調に売り上げを伸ばしている。仕掛け人の中道正晴さんに話を聞いた。

Oita Made 中道正晴さん:
元々、ジャパンブルー万年筆というものがあったのが大きいきっかけではあったのですが、大分で、その万年筆を“全て”できないかなという思いもありまして
大分の技術の結晶。どう作られているのだろうか?
不可能を可能に 天然染料で色づけ
前作も手掛けた佐伯市の長尾製作所。精密板金加工を得意とする会社で、半導体や液晶を作る機械の部品などを製造している。

このスターダスト万年筆は、長尾製作所の2つの技術がポイントになっている。ひとつはアルミニウムに色を与える技術。
青は、植物の藍の青。紫鉱の赤は、昆虫の分泌物から生まれる染料だ。天然色素を使ってアルミニウムに色をつけることは、これまで不可能といわれていた。
長尾製作所 長尾辰則専務:
人工的に色をつける、カラーアルマイトという表面処理技術の応用です。天然の藍を配合した独自染料を開発しました
藍染のように、天然染料を使ってアルミニウムに色をつける。6年ほど前から取り組んでいる長尾製作所独自の技術だ。漬ける時間や温度湿度で微妙に変わる色合いは、この万年筆の「味」になっている。

もうひとつは「槌目加工」。表面を細かく、丁寧に叩いて装飾する技術だ。平面ではないキャップやボディに対して均一に叩く技術は、職人だからこそできるもの。

“一般には目につかない”繊細な技術も
設計や加工を担当したのは、同じく佐伯市にある「豊州モールド」。医療現場で使うものを作るための金型などを制作する会社だ。
寸分の狂いなく穴を開けるといった正確で繊細な技術が、この万年筆にも注がれている。
豊州モールド 伊賀弘文代表取締役:
弊社の製品というのは、一般の方には目につかないところで納めているもの。この加工に携わっているんだよ、ということを自慢できたりして、それが一番嬉しかったですね

ペンケースや桐箱にもこだわり
さまざまな部品を組み立てて、STARDUST万年筆を仕上げているのが「ワンチャー」。文房具などの製造や販売を行う豊後高田市の会社だ。
そして、附属のペンケースも大分生まれ。七島い草で履物などを製造する国東市の会社で、高級感を引き出す桐箱は中津市の老舗が作っている

大分の技術が結集した「STARDUST万年筆」。すでに150本以上が販売され、全国の万年筆好きに注目されている。
Oita Made 中道正晴さん:
大分の企業さんの売上にも貢献できると思いますし、PRにもつながる取り組みにもなると思っているので、大分が活性化していけばいいなと思います
(テレビ大分)