石川県金沢市の隠れた名物「ジャジャメン」。鶏がらスープに、かつおダシのうどんつゆを合わせ、野菜をふんだんに使った優しい味。昭和30年代から60年以上に渡り、県民なじみの老舗うどん店を中心に提供されてきた。知る人ぞ知る「ジャジャメン」のおいしさの秘密を取材した。
創業60年超 老舗の味
2022年で創業62年を迎える「おたふくや」(金沢市吉原町)
この記事の画像(19枚)厨房に立つのは、涌田清(わくだ・きよし)さん。姉の出島美代喜(でじま・みよき)さんと共に店を切り盛りしてきた。
竹内章アナウンサー:
こちらの「おたふくや」って、金沢の老舗うどん店「お多福」さんと関係があるんですか?
涌田清さん:
姉の旦那さんである先代が、修業してたんです。
竹内章アナウンサー:
先代は、いつ亡くなられたんですか?
涌田清さん:
開店して8年ほど、34歳で亡くなりました。現在の店主は姉。姉が、1人で店を切り盛りするのがつらいだろうと思って、自分も手伝いするようになったんです。それから、50何年かな…。
中学生のときお手伝いに…以来50数年
義理の兄の死で、急遽、学生だった涌田さんが店を手伝うことになったという。二人は、こんなエピソードを教えてくれた。
姉の美代喜さん:
中学3年のときに「頼む!忙しいから、ちょっと来て」と、手伝いに来てもらった。
涌田清さん:
その日は学校を休んで店を手伝っていたのに、学校の職員室に出前を持って行くことになったんですよ。すると、担任の先生が「涌田、何してるんですか?」って。それで、「先生、ごめん、きょうは家の仕事です」と謝りました。すると、先生は「ああ、分かった、頑張れよ!」って。ははは。
竹内章アナウンサー:
古き良き時代ですね。いま、そんなことしてると叱られますけどね。
竹内章アナウンサー:
ところで、メニューがいっぱいありますね。これは変わってないんですか?
涌田清さん:
ずっとこのまま。基本的に変わってません。
竹内章アナウンサー:
特に人気のメニューは?
涌田清さん:
「ジャジャメン」が、よく出ますね。
「ジャジャメン」味の秘密は?
先代が修行した「お多福」でも、人気だったという「ジャジャメン」。「おたふくや」では、涌田さんが自分の畑で収穫した野菜を使う。
涌田清さん:
なるべく畑のものを使っています。ほとんど、農薬は使ってないです。
竹内章アナウンサー:
きょうで言うと、どの野菜を?
涌田清さん:
きょうは、タマネギとネギやね。朝、取ってきたものです。
涌田さんが育てた野菜をふんだんに使った「ジャジャメン」。
スープは、鶏がらスープに、かつおダシのうどんつゆを合わせる。
竹内章アナウンサー:「いただきます!」
竹内章アナウンサー:
うん!美味しいですね、これ。
涌田清さん:
良かった!
竹内章アナウンサー:
まろやかで、優しい感じの味でね。しかも、具だくさん!
涌田清さん:
ソースをかけると、また味がちょっと変わっていきますよ。
竹内章アナウンサー:
ソース?
涌田清さん:
ソースをちらっとかけるのが、基本なんです。
竹内章アナウンサー:
それって、ラーメンにソースをかけるようなものでしょ?
竹内章アナウンサー:
では、ソースをかけて、いただきます。
竹内章アナウンサー:
ん?合いますね!!え?何だろう。不思議だなぁ。合いますよ。合う、合う!
竹内章アナウンサー:
「ジャジャメン」っていうと、盛岡じゃじゃ麺とか、肉味噌がのったものをイメージしますけど、全然違いますね。
涌田清さん:
これは、例えるなら「金沢ジャジャメン」ですね。私が以前聞いた話では昭和の初め頃、麺料理の全国大会があって、その大会に向けて考案したものだそうです。
竹内章アナウンサー:
そうすると、昭和から「ジャジャメン」を食べてた方が、大勢いらっしゃるということですね。
涌田清さん:
はい。今でも店に入ってくるなり、「ジャジャメン!」って方もいますよ。ははは。
「ジャジャメン」はお店によって、味やスープの量など微妙な違いはあるが、野菜をたっぷり使い、好みでソースをかけて、味の変化を楽しみながら食べるのは同じ。知る人ぞ知る金沢のソウルフード、味わってみてはいかがだろうか。
(石川テレビ)