最近、スーパーなどで見かけることが多くなったセルフレジ。普及と同時に、会計をしないまま店を出て行ってしまうトラブルも増加しているといいます。
中には会計せず、故意に商品を持ち出す“万引き”のケースも。一方で、うっかり会計処理を忘れて持ち出してしまう場合も。ところが、本当にうっかりミスだとしても、逮捕されてしまうリスクがあると専門家は指摘しています。

セルフレジ「未払い」に悩むスーパー

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10月17日、めざまし8が取材したのは埼玉県吉川市にあるスーパーマーケット。
商品バーコードの読み込みは店員が行い、支払いだけを無人の精算機で行う、「セミセルフレジ」を2年前に導入。「スムーズなので楽」とお客さんからの評判も上々ですが、実は今、ある問題に直面しているのです。
それは、精算しないまま商品を持ち去ってしまう「未払い」の被害。

スーパーマルサン 常務取締役・齋藤元宏さん:
会計に行かないで、そのまま出て行ってしまうと分かる術がない。
未払いは1カ月に3~5件くらいはあると思います。気がつかないともうちょっと多い、5~10件

店員気づけず…防犯カメラ設置も被害減らず

なぜ、目の前にいる従業員は「未払い」に気づけないのでしょうか?
小売業での万引き対策に詳しい、全国万引犯罪防止機構の近江理事に話を聞くと…

全国万引犯罪防止機構・近江元 理事:
次の商品のスキャンで、お店の人が見ているゆとりがないんじゃないか。だから、やろうと思ったらできてしまう

客の商品スキャンが終わると、すぐさま次の客の商品をスキャンしなければならず、会計をしているかどうかまでチェックの目が回らないというのです。
そのため、こちらの店舗では…

スーパーマルサン 常務取締役・齋藤元宏さん:
(セルフレジに)カメラが付いているんです。顔も写りますし、手作業の仕草も映るようになっているんです。『防犯カメラ設置』と張り紙に書いてある

セルフレジ1台につき、1台の防犯カメラを設置。しかし、それでも被害は後を経ちません。

「うっかり」未払いも現行犯逮捕の可能性

一方で、客側にとっても問題が…

知人が会計を忘れてしまった人:
知人が、会計した後に、カゴに入れてそのまま持って帰ってしまった、みたいな。店員さんも気づいてない。「え~」って思ったんですけど

自分でスキャンするタイプのセルフレジで、精算を「うっかり」忘れて店を出たというケースです。実際に、取材したスーパーでも…

スーパーマルサン 常務取締役・齋藤元宏さん:
正直に「うっかりしちゃって持って来ちゃったんです」みたいなことで言いに来て、お金払っていただく方も何人かは。未払いの人の中の10%とか20%くらいかもしれませんね

万が一「未払い」を見つけたとしても、「うっかり」なのか、「故意」つまり万引きなのか判断が難しいといいます。
若狭勝弁護士によると、故意ではなく「うっかり」だとしても、刑事事件に発展する可能性があるといいます。

若狭勝 弁護士:
「きちんとレジが通ったと思っていました」と言ったとしても、おいそれと なかなか「そうですね」とはならない。場合によっては現行犯逮捕されたりというようなことが結構起きてくると思う

若狭弁護士によると、万引きは窃盗罪に問われる可能性があり、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が課される可能性があるといいます。ただ、初犯で前科歴もなければ、被害額を弁償した場合は起訴猶予で不起訴になるケースが多いのだといいます。
しかし、ミスで代金を払わずに自宅に持ち帰ってしまった場合、そのまま申告しなければ「占有離脱物横領罪」に問われる可能性もあるということです。

セルフレジ トラブルを防ぐには?

今までに五千数百件、万引き犯を捕まえてきた経験を持つ現役保安員で、万引き対策専門家の伊東ゆう氏によると、ミスで「未会計」になってしまう要因は、例えば「後続の行列に焦ってしまい入力漏れに気づけない」そして「野菜などバーコードのついていないものの扱いがわからず入力されないままになる」ということがあるといいます。

うっかりミス(過失)か故意の万引きなのか、店側は見るだけでは判断が難しい。そうした中で、トラブルを防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。

伊東氏によると、店舗側としてはサポーターの教育強化や、購入品数の多い人はセルフレジ使用不可にするなどの対策が必要になってくるのではといいます。
また、購入者側は、万引きと疑われないために財布は先に出しておく、私物のかばんなどは精算エリアには置かないといったことが重要だといいます。
さらに、1つ1つ落ち着いて、ゆっくり正確に精算を行うこと。そして、消費者のためにも販売店のためにも魔が差しやすい場、誤解を生む環境を作らないことが大切だということです。

(めざまし8 10月18日放送)