FNNの世論調査で、物価高で生活が「苦しくなった」という人は67.1%。政府の物価高への対応を「評価しない」人は77.8%にのぼった。
物価高対策の評価を改善できるかが、今後の岸田政権の課題となる。
物価高対応「評価しない」77.8% 岸田首相の次の一手は
FNNは、10月15・16日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1002人から回答を得た。
物価高が生活にどの程度影響があるかを聞いたところ、「苦しくなった」という人は、「とても苦しくなった」(10.9%)と「多少苦しくなった」(56.2%)をあわせて、67.1%だった。
「苦しくなっていない」という人は、「あまり苦しくなっていない」(26.6%)と「全く苦しくなっていない」(6.0%)をあわせて、32.6%だった。
一方、政府の物価高への対応を「評価する」は14.5%で、「評価しない」が77.8%だった。
岸田内閣を「支持する」は40.9%と、発足以来最低の支持率を更新した。
「支持しない」は51.9%で、9月に続いて今月も不支持が支持を上回った。旧統一教会の問題などとあわせて、物価高の影響も、支持率低下の要因の一つとみられる。
岸田首相は、物価高への対策として、10月中に総合経済対策を取りまとめる方針だ。既に電気・ガス料金の負担軽減などを打ち出している。
ただ、ある政府関係者は「物価高への対応は、経済の構造が元にあり、短期的に政府にできることはあまりない。支持率に響くのは、岸田首相が気の毒だ」と話す。
政府内からは「物価高に特効薬はない。世界中の政権がこれで窮地に立っている」「総合経済対策に支持率が浮上するだけのインパクトがあるのか」などの声も出ており、どこまで効果的な対策を打ち出せるかが課題となる。
全国旅行支援「評価」50.8% 「評価しない」40.4%
政府の新型コロナウイルス対策については、「評価する」は50.8%、「評価しない」は40.4%だった。
政府は11日から、旅行費用の割引などによる旅行需要の喚起策「全国旅行支援」を開始した。全国旅行支援を「評価する」は50.8%だった。ただ、「評価しない」も40.4%いて、評価が分かれている。
全国旅行支援の評価を年代別に見ると、18歳から20代では74.3%が「評価する」としているが、年齢が上がるにつれて「評価する」は少なくなり、世代によっても評価が分かれた。
政府内からは、「過去2年間と比べて、新型コロナ対策やそれに伴う旅行割などは、それほど内閣支持率に関係なくなったのだろう」との見方も出ている。
防衛費の相当の増額…財源は?
今後大きな争点となりそうなのが、防衛費の増額だ。
岸田首相は、日本の防衛力を抜本的に強化するため、防衛費を相当増額すると表明している。年末に向けて議論が本格化する。
防衛費の増額に「賛成」は62.5%、「反対」が29.8%。賛成が反対の2倍を上回った。
増額に賛成と答えた人に、その財源をどうすればよいか聞いたところ、「他の予算を削ってまかなう」が最も多く、55.0%だった。「国債を発行する」は27.2%、「増税する」は12.8%だった。
ただ、他の予算を削るには限界があり、削る予算によっては反発を招きかねない。
政府関係者は「今がまさに正念場だ」と話すが、岸田首相が、財源も含めて国民の理解を得て、防衛費増額を実現できるのかも、政権の行方に影響を与えそうだ。
(フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久)