5月のFNN世論調査で、物価高騰を受けた消費税減税の是非について聞いたところ、消費税の減税や廃止を求める人が7割を超えた。その一方で、経済対策のために、国の借金である国債を発行すべきでないという人は57.4%だった。
消費税の減税・廃止71% 自民から「野党はアピール合戦」との声
FNNは、5月17日・18日に電話で世論調査を行い、全国の18歳以上の有権者1,025人の回答を得た。
物価高などを受けて、野党などから消費税の減税を求める声が出ている。調査で消費税減税について聞いたところ、「今の税率を維持すべき」は27.1%。
これに対し、「食料品の消費税率をゼロにすべき」は26.3%、「すべての消費税率を5%に下げるべき」は32.0%、「消費税は廃止すべき」は12.7%で、消費税の減税や廃止を求める人は71.0%にのぼった。

立憲民主党などは「食料品の消費税率ゼロ」、国民民主党などは「すべての消費税率を5%」を主張している。これに対し、石破首相は消費税減税に否定的な考えを示している。
自民党内からは、「アピール合戦というか、野党は言いたい放題だ。我々は財源を考えないといけない」との声が出ている。
一方、与党の公明党、消費税減税も含めて検討する考えだ。今回の調査で、自民党支持層では「今の税率を維持」が44.1%と最も多い一方、公明党支持層では「すべての消費税税率を5%」が49.2%と最も多かった。
現金給付求める声も「低所得者に」23%「所得制限なし」30%
物価高に対する経済対策として、新たに現金を給付することの是非についても聞いた。
その結果、「低所得者に現金を給付すべき」は23.0%、「所得制限をつけず一律に現金を給付すべき」は30.3%、「現金を給付しなくてよい」は45.2%だった。

政府関係者は、石破内閣の支持率が32.9%にとどまっていることを念頭に、「消費税減税ではない形で何をするのかを示せていない」と分析した。
また、自民党議員は、「減税を求める声は大きい。自民党が減税をやらないとなると、丸腰で参院選に突っ込むことになるのではないか。何かやらないといけない」と述べ、夏の参院選に向けて対応を検討する必要性を強調した。
経済対策で国の借金「国債を発行すべきでない」57%
減税や給付などの経済対策について、財源が見つからなくても、国の借金である国債を新たに発行して実施することについても聞いた。「国債を発行してもよい」は36.2%、「新たに国債を発行すべきでない」は57.4%だった。
自民党の閣僚経験者は「国債発行すべきではないという意見は、少し冷静になってきていると感じる」と評価した。
今回の調査で、野党支持層でも、立憲民主党の支持層は「国債を発行すべきでない」が68.6%だったのに対し、国民民主党の支持層では「国債を発行してもよい」が69.3%で、違いが際立った。
トランプ関税めぐる日米交渉「期待しない」59%
一方、物価高対策と並んで、現在の石破政権の重要課題である、アメリカのトランプ政権の関税措置に関する日米交渉。
石破政権の交渉に「期待する」と答えた人は、「大いに期待している」(6.9%)と「ある程度期待している」(31.9%)をあわせて38.8%。「期待していない」と答えた人は、「あまり期待していない」(36.4%)と「まったく期待していない」(22.6%)をあわせて59.0%。6割近くが期待していないという結果が出た。
夏の参院選は、物価高対策と日米関税交渉の行方が大きなカギを握ることになりそうだ。
(フジテレビ 報道局政治部 上席解説委員 三嶋 唯久)