新型コロナの影響で、3年ぶりに奉納された福島・川俣町山木屋地区の「三匹獅子舞」。
原発事故による避難指示の解除後、ふるさとの復興を願う3人の踊り手が伝統をつないだ。

再び集結 地域の伝統を引き継いだ3人の高校生

福島・川俣町山木屋地区の「三匹獅子舞」。豊作、そして地域の人々の幸せを願う伝統芸能だ。

この記事の画像(12枚)

見に来た人:
みんな頑張ってやってくれているので、もっとたくさんの人に見てもらえたらいいのかなって思うのと、これからも(伝統)そういうのが続いてもらえたらなって思います

300年以上前から続く伝統の舞は、再び3人の踊り手によってつながれた。

原発事故後、6年の間、避難指示が出されていた山木屋地区。解除された翌年2018年には、震災後初めて三匹獅子舞を奉納する事になったが、帰還した住民は震災前の3割ほどにとどまり、踊り手を確保できずにいた。
そうした中、当時小学6年生だった3人が伝統の踊りを引き継ぐことを決意。ふるさとが復興するよう願いを込め、踊りきった。

佐藤凌真さん:
これからも、この伝統を引き継いでいけたら良いなと思います

星恵人さん:
山木屋の人に笑顔になってもらえればいいかなと思いました

菅野陽向さん:
山木屋に子どもが少なくて、僕たちしか受け継ぐ人がいない中で、頑張ってやろうと思いました

しかし、その後も山木屋地区に戻り生活する住民は増えず、獅子舞の踊り手となる地元の中学生は1人だけとなった。

高校生となった3人。地区の現状を受けとめ、伝統を絶やさぬよう、小学生以来、再び踊ることを決めた。

菅野陽向さん:
(地元で)楽しみにしてる人たちに見せたい気持ちが強かったので、頑張ってこれました。高校生になって、山木屋もどんどん人口が減っていて、お年寄りもたくさんいるので、少しでも盛り上げていけたら良いと思います

「若い人の力で盛り上げたい」力強く、3匹が舞う

地元の神社に奉納された「三匹獅子舞」。はやしの音に合わせ、激しく踊り回る三匹の獅子。一つひとつの動きに変わらぬ「復興」への願いを込める。

八坂神社下組三匹獅子奉納保存会・菅野清一代表:
あんなに力強く踊れる子たちとは思ってませんでしたから、最初のころ(小学生の時)から見るとね。だから見事なものですよ

息を合わせ全ての演目を奉納した3人。保存会は今後、山木屋地区だけでなく、川俣町の全域から踊り手を探し、「三匹獅子舞」を守ることにしている。

星恵人さん:
少しでも笑顔になってもらえたらいいなって思って踊っていたので、楽しんでもらえてよかったと思います

佐藤凌真さん:
地域復興っていうのを第一に考えていて、若い人たちの力でこの山木屋を盛り上げていけたらなって思います。僕はこれからも三匹獅子舞に携わっていきたいと思っているので、継ぐ人が今、全然いない状況なので、そういう状況は変えていきたいなって思います

解除後も地域に色濃く残る、原発事故による避難指示の影響。それでも、住民とふるさとをつなぐ伝統芸能をこれからも守り、つないでいく。

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。