9月、島根・出雲市に新たな「子ども食堂」がオープンした。
立ち上げたのは、野菜ソムリエの女性。子どもの貧困解消だけでなく、食を通じて地域の人たちをつなぐ場も目指している。

斐川町内の農家も協力

佐藤真理さん:
ある程度の皮はとっていい感じ。あまりにも細かいのは、なし

出雲市斐川町のコミュニティセンター。
厨房で、てきぱきと指示を出しながら料理を作っているのは、野菜ソムリエの佐藤真理さん。出雲市内で、総菜店の経営や飲食店のプロデュースなども手掛けている。

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この日は、佐藤さんが立ち上げた「子ども食堂」のオープン初日。
友人やSNSの呼びかけで集まったボランティアと一緒に、約50人分の夕食を作りあげた。

「子ども食堂」は、家族そろって食事することが難しいなど、さまざまな事情を抱えた子どもたちに、安くて栄養のある食事を提供しようと、10年前、東京で初めて開かれた。
最近では、食育や地域の交流を目的につくられた食堂もあり、山陰両県でも100を超える団体が子ども食堂を運営している。

こうした中、新たにオープンした佐藤さんの子ども食堂。
背景にあるのは、身近にも子どもの孤食など、食をめぐるさまざまな問題の存在を知ったことだった。

佐藤真理さん:
斐川でも、子どもの間で食に関する問題や孤食の問題があると聞いて、自分にできることは料理しかないと思い、やろうと思いました

2人の子どもを持つ佐藤さん。すぐに子ども食堂を始めると決断した。
材料は、日ごろから野菜を仕入れている農家に材料の協力を呼びかけた。

ながせファーム 園山久美子さん:
規格外の野菜がたくさんあって、佐藤さんのような活動に使ってくれるとうれしいな

規格外で出荷できないカボチャやアスパラを提供してもらった。

別の農家からは、商品として十分出荷できる採れたての葉物をもらった。

農家 青野司さん:
子どもたちに野菜を食べてもらいたいと思ってるので、うれしかったし、協力したいと思った

佐藤さんの呼びかけで、地元・斐川町内の農家が協力。すべてを賄うことはできないが、多くの食材が集まった。

佐藤真理さん:
手伝うという人が思いのほか多くて、そこは頼りながら

手探りで準備を進めた子ども食堂 満席に

オープン当日、農家に提供してもらったカボチャはサラダに。葉物野菜もたっぷり使う。トマトにジャガイモ、規格外の野菜もあますところなく使い、6品ができ上がった。

そして午後6時、いよいよオープン。
まもなく親子連れなどで満席に。用意した50食もすぐになくなった。

訪れた人:
普段、野菜食べないのに、すごいいっぱい食べててうれしいです

手探りで準備を進めた子ども食堂、まずは大好評だった。

佐藤真理さん:
地域でみんなと一緒がよかったと思います。1人や、1人対子どもでご飯食べるのはさみしいので、そういう場が必要とされているのだなと、はっきりとわかりました。誰でも気軽に来られるんだよという場所で、毎月1人でも食べに行こうかなという子どもがいたらうれしいです

どんな子どもたちも気軽に入れるよう気を配った佐藤さんのこども食堂。
今後は月1回のペースで開店し、地域の子どもと大人をつなぎ、時には子育て中の親たちが息抜きできる場を目指す。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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