男性の育児休業を促そうと、10月1日から「産後パパ育休」制度がスタートした。育児の在り方を変える、後押しとなるのだろうか。

取りづらかった「お父さんの育休」

働くお父さんが「取りにくい」という、これまでの育休。10月から「産後パパ育休」という制度が始まり、「育休」とは別に生後8週まで、2回に分けて取れるようになる。これにより、これまでは原則1歳までに最大で2回の育休が認められていたところ、それぞれを2分割、最大で4回に分けて取得できるようになった。

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街の人:
まとめて取っても、初日は頑張るけど2日目からだらけてきたりもあるから、自分の休みになってしまうから。分けることで「いま育休なんだな、俺は」「やらなあかんな」って

街の人:
こういう制度があったら、私も仕事してるので、すごく助かります

街の人:
長期間休むと、いろんな人にしわ寄せいったりとかで、なかなか言いにくいみたいで。何回も取れるんだったら、いいかなと思います

パパの育休取得率100%…一歩進んだ「積水ハウス」の試み

この育休を分割できるシステムを先駆けて導入した企業が、大阪の住宅メーカー「積水ハウス」。産後8週までの育休を、さらに1日単位で細かく取得できるという、国の一歩先まで進んだ制度だ。

2人目の息子が誕生した際にこの制度を利用した吉田さんは、週に1日程度ずつ育休を取ることで、仕事と育児を両立することができた。

積水ハウス 調達部 吉田祥さん:
長男のケアというところで、取って良かったなと思います。「にいにと呼んで」と自分で言って。お兄ちゃんになったなと成長を感じましたね

積水ハウスでは、子供が3歳になるまで育休が認められていて、吉田さんは次回を、妻が職場に復帰するタイミングで取得しようと考えている。

今では育休取得率100パーセントの積水ハウスも、意識改革には苦労をしてきたという。

積水ハウス ESG経営推進本部 木原淳子さん:
育休はある程度前から分かっているので。準備ができる休業すら取らせることができないマネジメントはどうなんだろう?という投げかけをして、上司の意識改革を図ってきました

育休を念頭に、仕事を引き継ぐ意識が芽生えたことで、マニュアルが確立されたり、業務の効率化が進んだりと、働き方が改善されたということだ。

積水ハウス ESG経営推進本部 木原淳子さん:
「自分がいないと仕事が回らないだろう」と思っていたのに、意外と部下がしっかりやってくれて成長を感じたと、「うれしいのか、さみしいのか分からない感情がありました」という意見もありました。そういう効果もあるのではないかと考えています

父親の育児参加への課題 「とるだけ育休」に憤る声も…

男性の育休取得率は、2020年で12.65パーセント程度にとどまっている。政府はこれを2025年までに30パーセントに引き上げたい考えだが、「職場の理解が進んでいない」などの理由で育休を取りづらいという声もまだある。

また、せっかく育休を取得しても、実際は妻に家事・育児を任せきりで何もしない「とるだけ育休」という言葉もある。
夫が育休を取得した女性500人を対象に行われたアンケート調査では、「育休中の夫の家事・育児時間(1日)」が2時間以下と答えた人が30パーセント以上に上り、SNSにも育休中の夫への不満が多数書き込まれている。

この課題に対応するため、積水ハウスが作成しているのが「家族ミーティングシート」。育児・家事などを細かく項目立てて見える化することで、「現状」「育休中」「育休後」に誰がどの担務を担うべきかを話し合うことができる。積水ハウスのHPに掲載されていて、ダウンロードして誰でも使うことができる。

変わる男性の育休。男女で協力し合って子育てできる環境は、広がるのだろうか。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月30日放送)

関西テレビ
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