80歳のゴルファーはさほど珍しくはないが、目を見張るのはドライバーの飛距離。今でもドライバーの飛距離はなんと250ヤード。50代、60代に交じって大会にも出場している。驚きの飛距離は、日々の努力と年齢にとらわれない向上心が生み出したものだ。
飛距離250ヤードを維持
9月25日、長野県岡谷市の諏訪レイクヒルカントリークラブ。
この記事の画像(23枚)大きくしなやかなスイング、高く飛び出したボールはフェアウェイをキープ。
打ったのは、長野県箕輪町の松本勝治さん80歳だ。
80歳のゴルファーはさほど珍しくはないが、目を見張るのはドライバーの飛距離。
アマチュア男性の平均を超える250ヤード前後を維持しているそうだ。
出場した大会でも目立ち、ゴルフの専門誌に取り上げられるほどだ。
記者:
これだけ飛ばすと気持ちいい?
松本勝治さん(80):
小さい声で…うーん(笑)。ここまでくると楽。普通そこら辺なんだよね
絶妙なアプローチに、パッティング。
ゴルフ仲間:
ナイスバーディ!
松本勝治さん:
やっと、とれたー
この日は10歳以上、年の離れた60代の仲間3人とラウンドした。
ゴルフ仲間:
走らなくていい
松本勝治さん:
ゆっくりの方が疲れるもん
80歳とは思えないプレーぶりだ。
ゴルフ仲間(68):
そりゃびっくりですよ。誰が見てもそうみえる『奇跡、奇跡』
ゴルフ仲間(69):
『バケモノ』という言葉が出て失礼なんですけど、素晴らしい技術もあってすべて見習わなければいけないなと
80歳はいわゆる「グランドシニア」だが、松本さんは今年、55歳以上の「関東シニアゴルフ選手権」に出場。予選をみごと通過し決勝を戦った。
松本勝治さん:
僕自身の年からすると逆に伸びているのかなと。年々(飛距離は)落ちていくが、維持しているということは伸びているということなので、それがいいかなと
ウェッジの練習と四股踏みによる体づくり
サラリーマンだった30代の頃、クラブを握り始めた松本さん。その後、15年ほどブランクがあり、本格的に打ち込むようになったのは仕事が落ち着いた60歳の頃。
松本勝治さん:
長野県のシニアの試合に60歳で同じ年代なんで、まあいいかと若手じゃないしと思って出てみたら、とんでもなくみんなうまい。『うわー、こんな人たちがいるんだ』と、これは追いついてみたいなと思って練習し始めた
チャレンジ精神に火がついた松本さん。その後、練習を重ね、多くの大会に出場。
60代後半には世界のアマチュアシニアが集まる大会で3位に入るほどになった。
今も週4日は練習場へ。豪快なドライバーの練習が見られるかと思いきや…。
記者:
ドライバーは打たない?
松本勝治さん:
(ドライバー練習は)やらない。やらなくてもボールの捉え方、きっちり捉えることを覚えれば、これを身につけると距離が出る
練習で握るのは距離の短いショットに使う「ウェッジ」だけ。体を大きく使いながら飛距離を変える練習を重ねる。
松本勝治さん:
2年間飛ばなくなった。困ったなと思った時にこれをやった。もう一回思い出してやった。そしたらドライバーがあの距離
自宅では「体づくり」。
松本勝治さん:
これ(四股踏み)をだいたい100回。あとは風呂、それが大変。これくらい湯があるじゃないですか、湯を蹴っ飛ばす、だいたい300回
10年以上続く就寝前のルーティンだ。
記者:
体で痛むところは?
松本勝治さん:
全くない、お金がなくて頭が痛いだけ(笑)
妻・成子さん(74):
(ゴルフで)いろんな人と出会って人生も広がっているし、すごい人だなと思う
攻めのゴルフで…「エイジシュート」
さて、冒頭で紹介したラウンドの様子に戻る。
松本勝治さん:
左の松を越えて池があるので、それを越えさせないとちょっと2オンは難しい
飛距離に自信がなければここは安全に刻むところだが、松本さん、迷わずドライバーを握った。
ゴルフ仲間:
ナイスショット
松本勝治さん:
最高、狙ったところ。刻んで失敗することが多い、攻めて失敗の方が気持ちいい
この日はアイアンも好調!でも、パッティングは苦戦…
松本勝治さん:
打ち損ね、打たなあかん、打たなあかんっていうのがね
圧巻は最終ホール。取材カメラがスタンバイしたのは250ヤードのあたり。すると…
ゴルフ仲間:
ナイスショット!
ボールはカメラを飛び越し、280ヤード付近へ!
松本勝治さん:
手応えはあったんだけど、やっぱり飛んでるわ
2打目でしっかり寄せて、バーディチャンスだ。
ゴルフ仲間:
……おしいっ
この日、パッティングはやや精彩を欠いたが、それでもスコアは「78」。みごと、自身の年齢を下回る「エイジシュート」を達成し、松本さんも満足気だ。
松本勝治さん:
みんなと楽しくできれば長生きできると思う。みんなといつまでもゴルフやりたいので、元気でやってもらえると助かります
ゴルフ仲間:
わかりました、がんばります
ゴルフ仲間:
末永くね
日々の努力と年齢にとらわれない向上心。松本さんの「ゴルフ道」はまだまだ続く。
松本勝治さん:
90までの競技ゴルフを続けられる体づくりを維持したいというのと、どこかで大きなタイトルをとれたらいいなと思う。夢と思わずに頑張っていきたい
(長野放送)