台風シーズンの現在、毎週のように日本に接近して大雨や強風をもたらしている。これまでに全国各地で、道路の冠水や断水などの被害も発生した。このように続くと、改めて自宅の備蓄や防災セットを準備した人もいるかもしれない。

そしてもう一つ、確認してほしいのが「暗い時間帯の避難」の判断基準だ。避難所などに移動する場合、基本はやはり明るい日中のうちに余裕を持って行くべきだ。しかし、局地的に短時間で大雨が降ることも増えてきていて、特別警報や自治体からの避難指示が夜に出されるケースもある。

夜中に避難所に行く場合、基本は歩きで

もし夜中に避難をする必要が生じた場合はどのような点に注意すべきだろうか? 岩手大学地域防災研究センター・客員教授の越野修三氏に話を聞いた。


――夜間に避難するとなった場合はどうすればいいの?

住んでいる場所の立地や建物などの状況は異なるとしても、基本は歩いて避難所に行ってください。自治体が運営する避難所であれば、いろいろな情報や食料、水などの物資も集まり、災害時は自宅にとどまるより安心して過ごすことができるからです。

しかし、避難所に向かうといういわゆる“水平避難”が難しいこともあります。既に自宅の周囲が水で溢れている場合などです。この場合、自宅建物のなるべく上階へと移動する“垂直避難”をしてください。この避難をする目安は、「道路にあふれた雨水の深さがひざ下(40cm)を超えるくらい」でしょうか。

この深さになると大人でも足を取られてしまう可能性があり、また泥水となると道路の状況が全く分からなくなります。側溝やもしマンホールの蓋がなくなっていた場合に落ちて、最悪の場合は命を失ってしまう可能性があるのからです。


――“垂直避難”をした場合、夜が明けても自宅周辺に水が溜まっていたら待機すべきなの?

はい、避難所への移動は水が引いてからにしてください。周囲が明るくても、道路などに水があると、やはり路面の状況がわからないので危険です。

水が溜まると明るくても路面状況はわからなくなる(画像はイメージ)
水が溜まると明るくても路面状況はわからなくなる(画像はイメージ)
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――では、夜中に避難所へ移動する際の注意点を教えて

停電や断線で街灯がついていなかったりと、真っ暗な中で避難することにもなると思います。そしてひざ下ほどまでではなくとも、泥水が流れていて道路の状況が全く分からないこともあります。このような場合、視覚障害者の方が白杖を携行して歩くイメージで、棒などを使って路面の状況を探りながら少しずつ歩いていくと良いでしょう。また、激しい雨の降る中を避難するわけですから、両手が空くように傘ではなく雨具を着用し、荷物はリュックなどで背負い、懐中電灯と棒を持って道路に危険がないかを確認しながら移動してください。

自動車での避難を勧めない理由

――徒歩ではなく自動車での避難はダメなの?

自動車の方が移動に不便なこともあり得ます。道路と側溝の境目が見えないので脱輪するかもしれないですし、このような豪雨の時の雨量ではワイパーもあまり意味がありません。また他の自動車が道路を塞いでしまった場合、渋滞や動けなくなる可能性もあります。そもそも、避難所に十分な駐車スペースがあるとも限りませんので、徒歩での移動をお勧めします。

(画像はイメージ)
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――避難する際に持っていったらいいものは何?

豪雨や台風の場合、地震とは異なり、何カ月も避難所で過ごすということは少ないと思います。食料や水などは自治体の備蓄で足りるはずですので、避難所で入手しにくいスマホの充電器や薬などの衛生用品でしょうか。年齢や性別などで必要なものは異なりますが、現在は家族との連絡やネットでの情報収集などでスマホは欠かせませんし、持病がある方にはその薬をすぐに用意できるとは限らないからです。

事前に避難経路などをチェックする備えを

――では深夜の避難を想定して、事前に準備しておくべきことや物は?

やはり基本は、自宅の周囲にどのようなハザードがあって、どのようなリスクを抱えているのかということをしっかりと把握しておくことです。地域の防災上の強みと弱みについて、地図上だけでなく、実際に避難所まで歩いてみてください。「避難経路にどのような注意すべきポイントがあるか?」や避難所となる施設の設備なども確認し、いざ深夜で周囲の状況がわかりにくい中での避難となった場合でも落ち着いて行動できるようにしてください。

また住民の皆さんで、「災害想像力ゲーム(DIG)」という、地域の地図を囲んで、大きな災害が発生した事態を想定した話し合いをする訓練をお勧めします。「この家にはお年寄りが一人で暮らしている」「ここは崖崩れの恐れがある」などと情報を共有し、その後に実際に街歩きをして確認しておくことです。

そしてもう一つ、自分の地域に降る雨の量、例えば1時間の最大降水量を気象庁のHPなどで調べて把握しておいてください。この数値に近い量が予報などで出された場合、「今は大丈夫かもしれないが、こらからが危険だ」などと、事前の避難を考える材料となります。

避難場所は事前の確認が重要(画像はイメージ)
避難場所は事前の確認が重要(画像はイメージ)

短時間で天気が急変することも多い昨今。夜でも慌てず安全に避難できるように、これらを頭に入れ、準備もすぐに行なってほしい。