国連と日本のメディアが協力して、「1.5℃の約束」と題した、地球の平均気温の上昇を抑えようというキャンペーンが行われている。
捨てられてしまう規格外の野菜を使ったランチで、食品ロスの削減に取り組む、岩手県平泉町の飲食店を取材した。

ボリューム満点で300円!“規格外の野菜”を使った格安ランチ

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JR平泉駅のすぐ近くにある「駅前食堂たすいち」。

一番人気の「ひくいちランチ」は300円(税込み)
一番人気の「ひくいちランチ」は300円(税込み)

提供しているランチは2種類で、どちらもボリューム満点。しかし価格は、一番人気の「ひくいちランチ」が300円(税込み)、食べ応えのある「たすいちランチ」は500円(税込み)と、格安で提供している。

町内の農家から提供された野菜を持ち、ランチの準備を進めるのは、店主の千葉佳代子さん。

市場に出荷できなくなった“規格外の野菜”
市場に出荷できなくなった“規格外の野菜”

千葉さんの料理に使われる食材の約8割は、大きくなりすぎたり、傷がついたりなどの理由で、市場に出荷できなくなった“規格外の野菜”だ。

そんな野菜を無駄なく使ってもらおうと、町内の農家が格安で提供してくれるため、ランチの値段が安くなっている。

駅前食堂たすいち 千葉佳代子さん:
どんなに形が悪くても、使えないなんてことは考えられない

深刻な食品ロス…国民全員が“ご飯茶わん1杯分”を毎日廃棄に相当

千葉さんが店の営業を通して取り組む、食品ロスの削減。

農林水産省と環境省の推計によると、2020年に国内で発生した食品ロスは、約522万トン。これは国民全員が、ご飯茶わん1杯分に近い量の食品を、毎日捨てていることになる。

駅前食堂たすいち 千葉佳代子さん:
びっくりしないのかなと思った。びっくりしなきゃだめだと思った。タダじゃない。おなか壊すまで食べなさいとは言わないが、食べるものを捨てるというのは忍びない

日本では、食品ロスは生ごみとして焼却処分される場合がほとんど。焼却すれば当然、二酸化炭素が発生し、気候変動に大きな影響を及ぼすことにもつながる。

店の前の産直には格安で提供された野菜が並ぶ
店の前の産直には格安で提供された野菜が並ぶ

千葉さんの思いに賛同した農家も、もっと規格外の野菜を家庭で消費してもらいたいと話し、店の前の産直に格安で提供している。

生産者:
すごくいいことだと思う。野菜がどんなに小さくても、でこぼこでも、味は変わりなくおいしい

食品ロス削減のため「感謝の気持ちを忘れないで」

千葉さんは、食品ロスを減らすためには、普段の食事から生産者に対する感謝の気持ちを忘れないことが重要だと話す。

駅前食堂たすいち 千葉佳代子さん:
野菜であっても肉や魚であっても、たくさん考えればわかると思う。食べ物を作ってもらっていることに思いをはせてほしい

毎日大量に廃棄される食べ物。消費者が当事者意識を強く持つことが、食品ロスの削減につながる。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
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