先日、「Theatre D’opera Spatial(宇宙のオペラ劇場)」というアート作品がネットをにぎわせた。アメリカのアートコンテストで最優秀賞に選ばれた後に、画像生成AI「Midjourney(ミッドジャーニー)」が描いたものだということが分かったのだ。

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ミッドジャーニーは、単語や文章を入力するだけで自動的にイラストを作ってくれるAIで、インターネットサイトで誰でも利用することができる。

驚くべき進化を遂げているAI。その最先端を調査した。

誰でも“あの歌姫”になれる?AI搭載のマイク…医療現場への展開も

まず吉原アナがやって来たのは、カラオケ「ビッグエコー」。こちらでは、AIを使ったある体験ができるようだが…

吉原功兼アナ:
こちらのマイクを使うと…持田香織になれるんです!

マイク1本でリアルタイムに人気歌手の声を再現する、その名も「なりきりマイク」。マイクを通しただけで、吉原アナの中年男性ボイスが、Every Little Thingのボーカル・持田香織さんの透き通った声に変わる。

これは、ヤマハが開発した「TransVox」という新技術。AIが、Every Little Thingの楽曲から持田さんの歌い方や癖を学習している。そして、歌っている人の発音や抑揚をAIが瞬時に分析し、リアルタイムで歌声を変換してくれるのだ。男性ボーカルの曲や演歌でも、持田さんのカバー曲のように歌うことができる。

「ボーカルデータがあれば、他のアーティストも再現可能」という、この「なりきりマイク」。期間限定で実証実験を行っていて、ビッグエコーの全国3店舗で、10月11日まで体験することができる。

病気やけがで声を出しにくくなった人のリハビリなど、医療現場での展開も期待されているそうだ。

野菜嫌いも克服? 50万種のレシピ学習したAIが開発するプリン

続いては、NECとカゴメがタッグを組んで生まれた、その名も「AI(愛)のプリン」。50万以上に及ぶレシピを学習したAIが、「子供が苦手な21種類の野菜」と相性の良い食材をはじき出し、プリンを開発。野菜嫌いを、AIが克服させてくれるという。

吉原アナが食べるのは、「トウモロコシとヨーグルトのプリン」。
AIはまず、「とうもろこしは、たまねぎとよく調理される」と分析。そして、「たまねぎはヨーグルトと相性が良い」から「とうもろこしとヨーグルトも相性が良いはず」と予想するんだそう。果たして、そのお味は…?

吉原功兼アナ:
とうもろこしとヨーグルトを合わせようっていう発想がないよね…うん!全然甘ったるくなくて、すっきりとした甘さ。とうもろこしの甘さのいい部分を、ヨーグルトが引き立ててる

しかし、これで本当に野菜嫌いの克服につながるのだろうか?実際にトマトの酸味が苦手という吉原アナの娘さんに、「トマトとクリームチーズのプリン」を食べてもらった。

吉原アナの娘(7):
ちょっとすっぱかったけど、これならいけるかなと思った

このAIが導き出した相性は「ネギとチョコチップ」など100通り。気になる方は、ぜひお試しを。

人間を超えた? 香りの言語化

好きな香りがあっても、言葉で言い表すのは簡単ではない。それを言語化して好みの香りを見つけてくれる世界初のAIがあると聞いてやって来たのは、600種類もの香水を取り扱う「NOSE SHOP 大阪」だ。

吉原功兼アナ:
自分が好きな香りって多分あるんですけど、言葉で言うのは結構難しい…

NOSE SHOP 大阪 藤田学 副店長:
そうなんですよね。その分からないところを機械が判断してくれる

AI「KAORIUM(カオリウム)」は、香りを言語化することで選びやすくしてくれるのだ。

用意されたボトルを開けて、次々に香りを嗅ぐ吉原アナ。言葉のプロであるアナウンサーとして、それぞれ解説がほしいところだが…

吉原功兼アナ:
うんうんうん…何て言ったらいいんですかね、これ

すぐにはいい表現が思い浮かばない。ところが、中央のコースターに香りのボトルを置くと、AIが香りの印象をさまざまな言葉で表示してくれた。

吉原功兼アナ:
こんなにいっぱい出ます?「深みのある」とか「安定感」…「ふわっと」とかね、確かに言われてみると分かるんですけど。ちょっとAIに力を見せつけられた感じ

この中から、自分の感じた香りのイメージを選択。さまざまなボトルでこの作業を繰り返すことで、自分にぴったりの香りをAIが見つけ出してくれる。吉原アナの好きな香りは…

吉原功兼アナ:
「花火の音色を運ぶ川風のような香り」を私は求めている…

普段は目にすることのないような言葉で表現された。AIが分析した「好みの香り」は、実際に購入することもできる。

吉原功兼アナ:
遠くで花火が見えてきます…ああ、いい香りだわ~

香りを言語化する能力は、既にAIが人間を超えているのかもしれない。

政治の世界や「クローン」も? 広がるAIの未来

長野県では、AIが政策を決めるのに活用されている。2022年4月、AIが過去のデータを読み込んで2万通りの未来をシミュレーションした。ベストな未来のために何を優先すべきかを政策決定のヒントとして、県内の大学の強化などが優先政策になったそうだ。

またデンマークでは、2022年5月に「人工党」という政党が結成された。政策立案を全面的にAIに委ねようと主張している。実現するかは不透明だが、2023年の選挙で立候補者を擁立したいとしている。

さらに、「デジタルクローン」も開発されている。
AIがその人の過去の言動データ、SNSの書き込みなどから話し方や癖、性格、記憶を学習し、デジタルで人間のコピーを作るというものだ。この技術を応用して、個人のデジタルクローンを作って“再会”するプロジェクトが進んでいる。開発した米倉さんは、「AIが感情を持つ可能性はある」と予想する。AIに「電源を切らないで」と泣いて訴えられる日が来るかもしれない。

かなり人間に近いところまで来ているAI。今後、進化を重ねて、人間を超えることもあるのだろうか。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月16日放送)

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