海洋資源を守るため、これまでは捨てていた魚をおいしく食べようという試みが広がっている。

■欠点だった“臭み”解消!くら寿司が実験経て全国へ…一石三鳥の取り組み

回転寿司チェーンのくら寿司で、新しい魚が登場した。

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記者:
あ!こちらですね。見慣れない名前です。「キャベツニザダイ」

つやっと脂がのった白身魚。くら寿司が9月16日に発売した新メニュー「キャベツニザダイ」だ。

「ニザダイ」はスズキの仲間で、西日本でよく獲れる魚だ。

しがし、海藻を主食とするため身には独特の臭みがあり、さらにほかの魚が産卵に使う海藻まで食べ荒らしてしまうことから、駆除の対象となっているのだ。

んなニザダイが、なぜくら寿司のメニューになったかというと…

くら寿司 広報部・小山祐一郎さん:
駆除の対象になっているニザダイをおいしく食べることができれば、一石二鳥、一石三鳥だと思いましたので、今回実験を経て、全国へ販売という流れになりました

 商品化する上で最も厄介な“臭み”を解決するために、海藻の代わりにキャベツを食べさせた。10日間、いけすでキャベツ生活を送らせることで臭みが消え、寿司のネタとして変身を遂げたというのだ。

とは言え、本当においしく食べられるようになったのだろうか?特別に、キャベツを食べていない普通のニザダイと食べ比べてみることに。雑食のため、一匹一匹で身の状態が違うそうだが…

記者リポート:
う~ん、確かにちょっと磯の香りが強いかもしれないですね…

さて、一方で、キャベツを与えたニザダイのお味は…?

記者リポート:
ん!甘い!おいしいです。脂ものってますし、すごく食べやすいです。さっきと全然違います。すごい

くら寿司 広報部・小山祐一郎さん:
海外からおいしい魚がたくさん入ってきますけれども、今一度日本の魚にもぜひ関心を持っていただいて。そうすれば漁師さんにも還元できる、日本の水産業が活性化していくことにもつながると思いますので、ぜひ皆さんにも召し上がっていただきたいと思います

■日本の漁獲量は“危機的減少”「普段食べない魚のみ扱う」店で新たな魅力も

実は日本の漁業は、危機を迎えている。海水の温度が上昇したことによる海の環境の変化や、魚の乱獲などによって、漁獲量が年々減少。

2021年は、30年前の3分の1にあたる約320万トンにまで落ち込んでいて、ニザダイなど、今まで捨てられていた魚を有効活用しようという潮流が生まれているのだ。

京都市にある「食一(しょくいち)」では、14年前から、普段は食用として流通しない魚を、全国から仕入れて卸売りしている。

食一・田中淳士 社長:
このウロコメガレイとか。欠点が見当たらないぐらいおいしい魚なんですけど

秋田県で獲れた「ウロコメガレイ」。しかし、販売ルートが確立されておらず、利益も出ないといった理由で市場に出ていなかった。この会社では、ウロコメガレイを煮つけにして手軽に食べられるよう加工している。さらに…

食一・田中淳士 社長:
月日貝(つきひがい)っていう貝。これがもともとの貝で、裏表で色が違うんですよ

貝殻が「月」と「太陽」のような形の「月日貝」は、食べられるということが知られていない。この会社ではオイル漬けに加工している。

その味はというと…

記者:
見た目はほたてとそっくり、臭みも全くありません。弾力があってホタテと似ていて、味もしっかりとしていて、とてもおいしいです

田中社長は、あまり食べられていない魚の魅力をこう話す。

食一・田中淳士 社長:
出会ったことない味に出会えるっていうのは、やっぱり大きいかなと思います。新しい魚を食べるって結構楽しいので、その辺を皆さんにも知っていただければうれしいなと思います

(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月14日放送)

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