愛犬家の皆さんは、ワンちゃんとしっかり散歩をしているだろうか?

犬の知育玩具専門店を運営する有限会社サンユーインダストリーが、愛犬との散歩について調べたところ、6割以上の飼い主が1回30分未満で、また約3割が毎日は行けていない実態が明らかになった。

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調査は犬を飼っている1018人を対象にインターネットを通じて7月1日に実施。この中で「お散歩の頻度はどれくらいですか?」と聞いたところ、最も多かった答えは「1日2回(33.2%)」で、「1日1回(30.3%)」「毎日は行けてない(28.9%)」が続いた。

欠かさず毎日散歩をする飼い主が6割を超えているものの、約3割が散歩をしない日もあるというのだ。

また、1回の散歩にかける時間についても調査。半数以上が「10分〜30分未満(53.1%)」と答え、次いで「30分〜60分未満(30.5%)」「10分未満(10.8%)」が多かった。

散歩に最適な時間は犬種や健康状態などによっても変わるとのことだが、30分未満という飼い主が約6割いたという。

出典:有限会社サンユーインダストリー
出典:有限会社サンユーインダストリー

散歩に行く時間帯(複数回答)については、トップは「18:00頃~21:00頃(42.0%)」で、2位が「15:00頃~18:00頃(39.4%)」と夕方から夜にかけてが多く、次いで「4:00頃~7:00頃(35.3%)」「7:00頃~10:00頃(29.4%)」と朝の時間帯が並んだ。

出典:有限会社サンユーインダストリー
出典:有限会社サンユーインダストリー

この調査結果を受けて、犬の行動・心理学(行動分析学)についての専門家・ドッグビヘイビアリストの池田和希さんは「愛犬が健康な個体であれば、朝晩1時間ずつの散歩はどんな犬種でも必要になります。」とコメント。“小型犬は散歩がいらない”などというのは間違いだとしている。

運動が必要な理由は人間と同様です

では愛犬が散歩不足になっているのは、どのようにして気付けばいいのか? やむを得ず散歩に行けない時はどうしたらいいのか? 池田和希さんに聞いてみた。

ドッグビヘイビアリストの池田和希さん(出典:Chien content Inc)
ドッグビヘイビアリストの池田和希さん(出典:Chien content Inc)

――散歩が毎日行けていない犬が約3割で1回の散歩30分未満が6割超ということが調査で判明。感想を聞かせて。

思ったことは、予想通り、でした。昔はそのような話を聞くたびに苛立っていましたが、今は冷静に散歩量を増やしてもらう為、散歩の必要性を発信しています。


――犬にとって「散歩」にはどんな効果がある?

簡単に説明しますが、歩く運動が特に重要で自律神経を整えます。家の中だけでストレスを発散することは難しく、縄張活動や探索活動など犬本来の欲求を満たすことはできません。あらゆる場所での匂い嗅ぎ、地面の感触、外の空気、陽の光を浴び、犬や人との触れ合い、たくさんの刺激に晒され感覚器官を使うことも重要です。

健康にも良い影響があり、免疫機能が強化され、筋肉がつき足腰も強くなり、それは老後にも影響します。運動が必要な理由は人間と同様です。

散歩不足の予兆はある?

――散歩が足りないと犬はどうなる?

自律神経が乱れ、情緒が不安定になり、ストレスが溜まります。健康に悪影響を与えるだけでなく、問題行動にも発展します。

目に見えるストレスによる異常行動としては、自分の尾を追いかけ続ける、手足が赤くなるまで舐め続ける、など“常同行動”が見られることがあります(ストレス以外のことが原因となっている可能性もあります)。

またストレスが発散できていないのでやたらと吠える、噛む、破壊する、などの問題行動に発展する可能性があります。


――散歩不足の予兆はある?

予兆は「上記行動の出始め」と表現するのが適切かもしれませんが、逆に引きこもり生活が続いてやや鬱状態となり、行動そのものが減ってしまっている犬もいます。散歩に行かず犬が健全に生きるのは難しいことです。人間の都合ではなく、犬のニーズをしっかり満たしましょう!


――どうしても散歩できない時はどうしたらいい?

基本的に、起きられない、時間がないなど人間の都合で散歩に行かないというのは論外ですが、台風で外出が危険、犬が怪我をして長時間歩けないなど理由がある場合は、知育玩具の使用をお勧めします。鼻を使い、脳を使い、楽しくストレス発散ができます。我が家の犬たちは、知育玩具で遊び終わった後はぐっすり寝ます。


――愛犬に必要な散歩時間を正しく知るためにはどうしたらいい?

私がレッスンで伺う先では、殆どの方が「ペットショップの店員さん(またはブリーダーさん)が言っていたから」「トレーナーが言っていたから」「飼い主向けの情報サイトで見たから」「本で見たから」という理由で犬の情報を得て実行していました。

正しい情報を得るには情報の出所がどこかを見る必要があります。例えば博士号を持つ人が書いている本を読む、論文を読む、など根拠のある情報を得ていく必要があります。

さらに、池田さんは「一人一人が犬を飼う前に正しい知識を身につけることができる環境が必要だと考えます。どのようにして正しい知識を広めていくか、私も日々考え地道にSNSなどで広める活動をしています。」と語ってくれた。

サイトで犬の散歩時間を検索すると、たしかに1日1回30分程度などと書かれた情報もヒットする。今まで散歩時間が足りなかった人が急に増やすことは大変かもしれないが、愛する家族の一員の健康を守るために頑張っていただきたい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。