愛知・一宮市にある石刀(いわと)神社で、参拝客が手などを清める手水舎にあった龍の形をした蛇口が何者かに盗まれた。
盗難続発の背景に「金属の需要増」「エネルギー価格高騰」
石刀神社を管理する木全寿枝さん:
水が噴き出していたのでおかしいなと思って見たら、龍がいなかった
神社は、地元では登校する小学生の集合場所にもなっていて、高校生が掃除を担当。「龍くん」「龍さま」と呼ばれて親しまれていたが、8月20日ごろ、何者かに盗まれた。
木全寿枝さん:
寂しくて寂しくてしょうがないわ。これだけ毎日世話しとってね
地元の男性:
ここで取られるとは夢にも思わなかった
盗まれた理由は、その材質にあった。
木全寿枝さん:
水道屋さんにも言われたんですけども、今金属の値段が高くなっているので
盗まれた蛇口は、銅と亜鉛を混ぜた真鍮製。これらの金属はEVなどの製造に多く使われ、需要が高まっていることや、精錬に必要なエネルギー価格が高騰していることから、価格が急速に上昇。換金目的で狙われた可能性がある。
同様の被害はほかにも。警察などによると、一宮市では約4km圏内の5つの神社で、同じ様に龍の蛇口が相次いで盗まれていたことがわかった。
木全寿枝さん:
すごく本当に悲しいです。悲しくて寂しいです。もう何も言わないので、そっと明日返していただければ、それだけでいいです
三重県でも、金属を狙った盗難事件が相次いでいる。
リポート:
松阪市では消防用のホース格納箱から、先端に取り付ける金属製ノズルが盗まれる被害が相次いでいました
三重・松阪市で次々と盗まれたのは消火用ホースの先端、長さ約80センチのノズル。銅と同じく高騰しているアルミ製だ。
松阪市豊原町自治会の副会長:
調べたら3カ所無かった。誰でも開けられますね。緊急用ですから、カギは閉めていないですね
消防団の事務局によると、松阪市では2021年11月から2022年5月にかけ、市内26の自治会で、ホースの金属製ノズルあわせて61個が盗まれた。
同じような被害は、津市や伊勢市など県内8つの市や町に広がり、少なくとも320本のホースが盗まれ、被害額は約180万円にのぼる。
三重県警は、松阪市内のホース1本を盗んだ疑いで2022年2月に男2人を逮捕。「換金目的で盗んだ」と供述したという。
松阪市豊原町自治会の副会長:
こんなの買う業者も業者やな。引き取って金に換えてくれる所があるからやるのでね。しっかり管理してもらわんといかんと思います
金属の盗難被害は相次いでいて、7月には名古屋市名東区の神社で、屋根の銅板がはがされて盗まれた。
他にも、乗用車の床下から、排気ガスをきれいにする部品「触媒コンバーター」が取り外される被害も相次いでいる。使われているパラジウムなどの貴金属(レアメタル)を狙ったとみられている。
栃木県では2021年、二宮金次郎の銅像が盗まれる事件があった。
(東海テレビ)