「近所の郵便局もう限界っぽい」
そんな気になるコメントとともに投稿された写真が話題になっている。

ナカタナカタナ!カ!タ!ナ!カ!タ!ナカタナ!カ!タ!ナカタナカタナカタナカタ……
Twitterユーザーのキング(@natsuno_odekake)さんが8月27日に投稿したのは、東京・世田谷区にある「世田谷下馬郵便局」で撮影したというこちらの写真。
くり返される「ナカタ」の文字と、所々に挟まる「!」。
お笑いコンビのオリエンタルラジオが率いる音楽グループ・RADIO FISHの曲「PERFECT HUMAN」を連想させるリズムだが、気になるのはその先。
ナカタナカタナカ梅干カタナカタナカタ……
「ナカタ」の連続の中に突如現れた「梅干」の文字。
この謎の掲示物には「え、怖い怖い、、何事、、!?」「パーフェクトヒューマンかと思ったらまさかの途中梅干し」「カタナ?ナカタ?タナカ?梅干し?」と混乱する人が続出し、11万件を超える「いいね」がついた(9月21日現在)。

一体、これは何を意味しているのか。そんな中、寄せられたコメントの中には「中田食品の梅干しは、郵便局の人気通販商品ですよ」という情報が。
さらに、投稿の翌日には、寄せられた情報を裏付けるように、和歌山県の梅加工食品の製造・販売メーカー「中田食品株式会社」が公式アカウントで
ありがとうございます! パーフェクト梅干ですね
と反応したのだ。

謎の文字列「ナカタ」と「梅干」は、どうやら「中田食品の梅干し」をPRしているもののようで間違いなさそう。
実際に、日本郵便株式会社が運営するネットショッピングサイト「郵便局のネットショップ」を見てみると、確かに中田食品の「うす塩味梅干」「減塩はちみつ梅」が商品一覧に並んでいる。
掲示物の影響は「普段聞けないお客様の声聞けた」
気になる掲載の経緯をさっそく郵便局に問い合わせてみたところ、残念ながらコメントは差し控えたいとの回答。
しかし11万人を惹きつけたPR効果はどれほどのものだったのかについてはぜひ知りたい。これが話題になってからの影響について、中田食品の企画開発課担当者にお話を聞いた。
――これが掲示された経緯をどう予想している?
郵便局様がノーコメントとのことなので郵便局側の掲示の詳細はわかりませんが、世田谷下馬郵便局様が個人的に考えて掲示したもののようです。
勘違いされている方も多いのですが、郵便局さんと私どもが事前に打ち合わせや相談したことはなく、世田谷下馬郵便局様が独自のお客様へのアピールとして掲示したものです。オリラジの中田敦彦さんが世田谷下馬の東京学芸大学附属高等学校の出身という情報もありました。

――一連の“バズ”について…
郵便局に掲示された日時はわかりませんが、近所にお住まいのキングさんが掲示に気づきTwitterに投稿したのが8月27日の17時過ぎ、翌28日の6時ごろネットで数千件のいいねがついているのに私が気付き、『PERFECT HUMAN』を意識したものだと気づいたので「パーフェクト梅干ですね」と引用リツイートをしました。
その時点では私どもは郵便局で販売いただいている商品のPRであろうことは理解しておりました。この投稿が「ナカタナカタ」の種明かしになって、爆発的な拡散につながったようです。
なので、郵便局さんの掲示、キングさんの投稿、弊社のリツイートが思ってもいない連鎖をして話題になったというのが真相です。
近所の郵便局もう限界っぽい pic.twitter.com/zU0ysRzSgJ
— キング (@natsuno_odekake) August 27, 2022
――掲示物の件について、中田食品への問い合わせはあった?
私どもには特にありません。ただ記事を投稿したキングさんからは「ご迷惑をおかけしてないですか?」とお電話をいただき、私が直接お話しました。その際、せっかくなので弊社商品をお送りしました。
――また同じものを見られるチャンスはありそう?
最初に掲示された日はわかりませんが、週が明け月曜日(8月29日)に郵便局様にも見に来るお客様も増えたようで、そのなかには「意味が分からない」というお客様もいて、30日にはもう外されていました。今後どのような広告を出すかは郵便局様次第ですが、同じ広告を出すことはないと思います。

――話題になったことによって、梅干しの売り上げに影響はあった?
その期間、増量キャンペーンを行っていたので、販売数量は増えましたが、それが原因か判断は難しいところです。
――話題になったことをどう受け止めている?
直接的な弊社への広告になったわけではないと思いますが、郵便局様で買っていただいているお客様の「ここの梅干しおいしいよね!」とか「いつも郵便局でリピートで買っている」という、普段は聞けないお客様の声が聞けて良かったです。

中田食品によると、この掲示物について郵便局側とは一切打ち合わせなどはしておらず、完全に郵便局側のオリジナルとのことだった。
誰が考え出したのか…などは想像するしかないが、多くのコメントにあった「PERFECT HUMAN」とのつながりも、もしかしたらありそう?という部分も見えてきた。
そして肝心の影響だが、これが掲載されていた期間と、郵便局のネットショップで増量キャンペーンを行っていた期間が重なるため、この影響で注文が増えたと断定はできないそうだが、販売数量はアップしたそう。
しかしそれ以上の影響だったのが、ユーザーとの交流の場ができたということ!
“バズ”の発信地となったキングさんには、本人から問い合わせがあったことをきっかけに、商品をプレゼント。さらにSNSでは中田食品のツイートへ「梅干しは大概中田さんの梅干しです!」「中田食品さんの梅干しのおかげでこの暑い夏も乗り切れました!」などのコメントが寄せられるなど、ユーザーの“梅干し愛”が伝えられるなどのアクションが起きていた。
“バズ”を通して思いがけない交流が生まれる…不思議な掲示物は、SNSの醍醐味を感じさせてくれる結果を呼んだようだ。