「ガシャポン」が紙製カプセルで脱プラスチックを図る。

 紙の含有率51%の「マプカプセル」

おなじみのハンドルを回すと、出てきたのは真っ白なカプセル。これは、バンダイが6月から一部商品で導入している新型カプセル「マプカプセル」だ。形は普通のガシャポンだが、いったい何が新しくなったのか。

この記事の画像(6枚)

バンダイ ベンダー事業部 ゼネラルマネージャー・田川大志さん:
MAPKA(マプカ)という素材を採用していますが、紙の含有率が51%になるため、プラスチックじゃない非プラスチックという扱いで処理していただくことが可能です。

変わったのはその素材。原料の半分以上に「パウダー状に粉砕した紙」を使った新素材「MAPKA」を採用した。

素材を変えることで、製造に使う石油原料や廃棄するプラスチックの量を減らせるほか、生産から焼却の過程で出る温室効果ガスの排出量を約30%削減できるという。

「ガシャポン」史上初となるこの「紙製カプセル」。

素材にあわせて強度を保つ上下分離型のデザインを導入したり、不透明でも中が見えるよう穴の大きさを調整するなど、開発は一筋縄ではいかなかった。

それでも取り組みを続けたのは、大手カプセルトイメーカーとしての責任感からだった。

バンダイ ベンダー事業部・田川大志さん:
最近だと年間で1億個くらいのカプセルがお客様にわたっていて、脱プラは重要な取り組みとして考えています。 今回みたいにカプセル自体のプラスチックの含有率を下げるようなこともそうですし、カプセル自体を梱包材ではなく商品の一部にしたりとか、ガシャポンの象徴であるカプセルに関しては色んな角度から取り組んでいきたい。

これまで実施してきたカプセルの回収やリサイクル、そしてカプセルも商品の一部として楽しんでもらう 「カプセルレス」商品の開発に次ぐ、新たな選択肢としたい考えだ。

今後については…

バンダイ ベンダー事業部・田川大志さん:
まだ現状はお試しという感じが強いかもしれないですが、最終的にはプラスチックを削減する、環境に良いのはどれかというのは、答えが我々の中でも色んな方向性があって、どういうものを採用すればいいのか周りを見ながらやっていきたい。

カプセルトイ 450億円市場に

三田友梨佳キャスター:
マーケティングアナリストの渡辺広明さんに聞きます。
渡辺さんはカプセルトイの商品開発をしている企業でもお仕事をされているとのことですが、今回の試みをどうご覧になりますか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
カプセルトイは大型専門店の増加に加えて、ショッピングセンターなどのテナントの空きスペースでも人件費を低く運営できることもあり、店舗数を増やし、いま第4次ブームとなっています。また、コロナ禍の巣ごもりも後押しして、カプセルトイ市場は450億円となっており、さらなる成長が期待されています。成長が期待できる分野で脱プラスチックの取り組みが定着すると、廃棄されるプラスチックのゴミが増えることにストップをかけるきっかけになることが期待されます。

三田キャスター:
いま、ストローの素材が木や紙に変わるなど、脱プラスチックの動きが私たちの暮らしの中で進んでいますよね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
これまではゴミとして焼却処分されていたプラスチックなどを減らすことを目的に、2022年4月に「プラスチック資源循環促進法」が施行され、関連する小売業や製造メーカーなどはその対応に追われています。

今回の取り組みは、基本すぐに捨てられてしまうカプセルの素材をプラスチックから紙の含有率が51%となるMAPKAという非プラスティック扱いのものに切り替えることで、CO2削減を進めようとするものです。

今後は資源を循環される「3R」と呼ばれるリデュース、リユース、リサイクルに加えて、プラスチック素材をより環境負荷の低い材料や再生可能なものに置き換える「リニューアブル(Renewable)」という試みに、関連する企業は今よりも積極的に向き合うことが求められます。

三田キャスター:
企業が取り組みを加速させるとともに、私たち消費者もこれまでの当たり前を見直すなど意識を切り換えることが大切ですよね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
捨ててしまえばゴミですが、それを再生する活動に私たちも積極的に参加する必要があります。
また今回のカプセルトイでいえば、その購入を通して親が子どもに脱プラスチックの大切さを伝えるのも地球への優しさのひとつになるかもしれません。

三田キャスター:
おもちゃの脱プラも加速していきそうです。

(「Live News α」8月3日放送)