1日も前日に続き、全国各地で猛烈な暑さに見舞われ、広い地域で35度以上の猛暑日となっている。この暑さは今後も続くことだろう。

そこで気を付けなければならないのが、車内に残された子どもが熱中症で亡くなる事故だ。自動車の部品などを扱う複合型専門商社「三洋貿易」の調査で、これまでに子どもを残したまま、車を離れた経験があるドライバーは約3割いることが分かっている。

三洋貿易は、2022年5月(18日~23日)に、子どもや孫を乗せた経験がある全国の20歳~69歳のドライバーを対象にオンラインでアンケート調査を実施し、2652人から回答を得た。

全体の2652人のうち、約3割(29%)にあたる768人が「これまでに車に子どもを残したまま車を離れたことがある」と回答している。さらに「車内に子どもを残していることを認識していたか」と聞いたところ、このうち18人が「認識していなかった」と答えた。

また、この768人に「車内に子どもを残した1回あたりの時間は平均してどのくらいですか」と聞いたところ、全体の65.6%(504人)は「5分未満」だった。

ただ、子どもの存在を「認識していた人」に比べて、「認識していなかった人」は、子どもを置き去りにした時間が長い傾向にあり、「認識していなかった人」の約4割(38.9%)が「15分以上」となった。

認識せずに子どもを置き去りにした場合、置き去り時間が長くなる傾向がある(提供:三洋貿易)
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「車内に子どもを残してヒヤリとした(泣いていたり、具合が悪くなったりした)ことはありますか。その際にどのような状態になりましたか」と聞いたところ、全体の3.6%(28人)が、めまいや顔のほてりなど「熱中症の症状がある」とのことだった。

全体の3.6%にあたる28人に熱中症の症状(提供:三洋貿易)

今回の調査では、「車内に子どもを残していることを認識していなかった」と回答したのは768人のうち18人という結果だったが、「認識していなかった」理由としては、どのようなことが考えられるのか?

また、“車内置き去りによる死亡事故”を減らすためには、どのような対策が必要なのか? 三洋貿易の担当者に「認識していなかった理由」と「必要な対策」を聞いた。

子どもの存在を「認識していなかった」理由

――このような調査を行った理由は?

アメリカで車内置き去り事故が発生した場合に、保護者が子どもを車内に放置していたことを認識していたか、という内容の調査が存在していまして、その調査では実に82%の方が「認識していなかった」という結果が出ています。

そのような調査をはじめ、車内置き去りに関する調査が日本には存在していません。「車内置き去り検知センサー」を取り扱う立場として、実態を把握しておくべきと考えました。

また、子どもの車内置き去りの実態を世の中に認知していただき、「置き去りの防止に役立てば」との思いで、独自で調査を実施いたしました。


――「車内に子どもを残していることを認識していなかった」と回答したのは18人。この理由としては、どのようなことが考えられる?

習慣と異なる行動を取ったり、精神的に大きなストレスがかかっていたりする状態だと、「どんな大切なものでも、大切な人のことでも、人は忘れることがある」という専門家の研究もございます。

今回、「認識していなかった」と回答された方も、習慣とは異なる行動や、考えごとに追われるなどの状況であったのではないかと推察いたします。

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――今回の調査結果をどのように受け止めている?

日本全国の対象者(子ども、もしくは孫を乗せたことがある20歳~69歳のドライバー)で考えると、非常に多くの方が“認識せず”に置き去りを経験していると考えられます。それにもかかわらず、子どもの車内置き去りは「保護者の意識の問題である」と考える方が非常に多い、という結果も出ています。

こうしたことから、子どもの車内置き去りそのものが「非常に危険であること」の啓発はもちろん、「車内置き去り検知センサー」などの仕組みによって、子どもの置き去りを防止することの重要性を強く訴えていく必要があると考えています。

車内置き去りによる死亡事故を減らすための対策は?

――三洋貿易が取り扱っている乗用車用の「車内置き去り検知センサー」、これはどんな製品?

車載向けセンサーを開発、生産するIEE社の「VitaSense(バイタセンス)」という製品で、日本国内では2025年から自動車メーカーなどへの納入開始を目指しています。

VitaSense(提供:三洋貿易)

――どんな仕組み?

車内の天井裏に設置し、センサーで乳幼児の呼吸に伴う、微細な胸の動きを検知します。レーダーを照射し、対象物に反射して戻ってくるレーダーの“時間の情報”等を計測します。

体動や一定の周期性のある動き(呼吸に伴う動き)があると判断すると、ヒトなどの生体の存在として検知します。その検知を知らせる方法は、自動車メーカーとの開発が必要になりますが、車からアラームを発したり、クラクションを鳴らしたり、スマートフォンにアラームを発したりすることができます。

VitaSenseを車内に設置したイメージ(提供:三洋貿易)

――“車内置き去りによる死亡事故”を減らすためには、どのような対策が必要だと思う?

以下のような対策が必要だと思います。

・子どもの車内置き去りの危険性の啓発
・子どもの車内置き去りを防止する仕組みがあることの周知
・子どもの車内置き去りを防止する仕組みを自動車に搭載することと、その義務化
・上記の仕組みの普及に向けた制度づくり、行政からの補助金などのサポート



毎年のように起こり、後を絶たない「車内に残された子どもが熱中症で亡くなる事故」。こうした事故を減らすためには、「車内置き去り検知センサー」などの普及も重要になってくるだろう。

記事 4301 プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。