福岡県中間市の保育園で、5歳の園児が送迎バスに取り残され、熱中症で亡くなった事故からもうすぐ1年が経過する。

そのような中で大手自動車部品メーカーが、炎天下の車に子どもが置き去りにされる痛ましい事故を防ぐため、「子どもの車内放置検知システム」の開発を進めている。

(出典:アイシン)
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センサーで、呼吸する胸の動きを検知

愛知県に本社を構え、グループ会社を含めると世界に約12万人の従業員を抱えるアイシンは、2018年から「子どもの車内放置検知システム」に取り組み、ひとつのセンサーで3列シートの車内を検知できる仕組みを作った。

センサーは天井に取り付け、照射した電波の反射を受信して対象物の距離や位置を把握するという。

(開発中のセンサー  出典:アイシン)
(開発中のセンサー  出典:アイシン)

同社のシステムは、車内の状況を細密に把握し、子どもが呼吸する胸のわずかな動きを検知して、子どもとそれ以外のものを的確に識別することが可能だとしている。

開発過程では実際に乳幼児も評価テストに加わり、後部座席に座るだけでなく、物陰に隠れてみたり毛布をかぶってみたり、あらゆる状況で検知できるか検証したという。

車のドアを施錠後、センサーが子どもが車内に置き去りになっていることを検知すると、ハザードランプやクラクションを操作して警告を発し、さらにユーザーのスマホへの通知などもできる。

(出典:アイシン)
(出典:アイシン)

ペットも検知対象

真夏などはすぐに車内は高温になる。このようなシステムがあるとたしかにありがたい。ところで、センサーが検知する子どもに対象年齢はあるのだろうか? また、開発はどこまで進んでいるのか?

アイシンの担当者に聞いてみた。


――なぜ「子どもの車内放置検知システム」を開発することになった?

アメリカの調査では、2021年までの約30年間で、毎年平均40人程度の子どもが車室内に置き去りにされたことで死亡しています。北米・欧州・中国などでは、子どもの車内放置の検知機能の法規や評価・分析が進んでおり、アイシンとしても当社の技術を生かして子ども達の大切な命を救っていきたいと考えていることから開発にいたりました。


――子どもと大型犬などを間違えることは?

置き去りという観点では、子供であってもペットであっても注意喚起の必要があり、どちらも区別せず、検知対象と考えています。今後、子供とペットを区別するニーズが出てきた場合は、対応していきます。

(画像はイメージ)
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――検知する子どもの年齢は何歳ぐらい?身長や体重は?

対象の子供を何歳とするかは、お客様(OEM)の仕様により、異なります。弊社の製品では、お客様(OEM)の仕様に合わせた適合が可能です。


――車内の温度は計測するの?

弊社のセンサには、温度計測の機能はありません


――センサーの大きさは?

お客様(OEM)のニーズ・仕様にも関わりますので、具体的な数値はお答えできません。

要望があれば“幼稚園の送迎バスに対応も?

――開発はどのくらい進んでいる?

基本的な開発は終了しておりますが、お客様(OEM)のご要望への適合開発と、市場で起こり得る様々なユースシーンや様々な車室内形状・装備を想定したシステム評価が必要となります。


――幼稚園の送迎バスなどに対応する可能性は?

まずはお客様(OEM)のご要望を受け対応していきたいと考えておりますが、ご要望によっては、その可能性もございます。あらゆる場面で子どもの被災リスク低減に貢献していきたい、と考えております

 
――ちなみに、どのメーカーの自動車にもつけられる?

多数の国内外のカーメーカーへ既に様々な自動車部品を提供しておりますので、合わせて本システムを搭載いただけるよう開発を進めております。

(画像はイメージ)
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なお実用化は2025年頃をめざしているという。

担当者が挙げたアメリカの調査データによると、置き去りにした原因の半数以上は親が子どものことを「うっかり」忘れてしまったためだった。夏の炎天下に痛ましい事故が起きないよう、まずは車を降りるときは改めて気をつけてほしい。