夏休みに入り、マリンレジャーを楽しむ人が増える時期、気をつけたいのが水の事故だ。迅速な救助活動をするため、金沢海上保安部は2022年7月に初めて「海面救助員」を任命した。海面救助員とは一体どんな役割を背負っているのか?

いわゆる“海猿”の「潜水士」と「海面救助員」の違いは?

海難事故の現場に駆けつけるプロフェッショナル。それが「海猿」の名で知られる、海上保安部の「潜水士」だ。しかし、石川県内に潜水士は1人もいない。

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そんな中、2021年12月に新設された「海面救助員」になるための最終訓練が、金沢港で実施された。

「海面救助員」と「潜水士」には違いがある。海上保安官は、潜水士など専門職でなければ、救助のためであっても水に入ることが禁じられている。

そのため、潜水士がいない石川県内の海上保安部は、目の前に助けを求める人がいても、新潟や富山から潜水士が駆けつけるまで、水に入って救助することができなかった。

そこで、新設された「海面救助員」になれば、潜水士の資格がなくても海面でのみ、救助活動ができるようになる。

初の「海面救助員」へ!いざ、最終訓練

2022年7月26日、この日は約1カ月半にわたる訓練の最終日。

最終訓練は実戦さながらだ
最終訓練は実戦さながらだ

石川テレビ取材班:
海面救助員になるための最後の訓練です。船からおよそ20m先で、浮いて助けを求めている人がいるという想定で救助に向かっています

泳ぎに自信があり、命を守りたいと手をあげた4人の職員が挑んだ。

本番さながらの救助訓練。

最終訓練は、無事終了した。

金沢海上保安部・松居秀明 部長:
4名を金沢海上保安部 初の海面救助員に任命する

晴れて4人の職員は、金沢海上保安部で初の「海面救助員」に任命された。中にはかつて、潜水士として活動していた職員もいる。

海面救助員に任命された塩原救難係長
海面救助員に任命された塩原救難係長

金沢海上保安部 塩原秀樹 救難係長(49):
10年前までは潜水士、機動救難士をやっていまして、海面救助員が新設されるということで何かの役に立てればと思い希望しました

海面救助員に任命された職員の荒井さん
海面救助員に任命された職員の荒井さん

金沢海上保安部・荒井怜雄さん(23):
事故があった際には要救助者を助けられるよう、これからも訓練に励みたい

金沢海上保安部・松居秀明 部長:
今までより、はるかに時間を短縮して、要救助者のもとに駆けつけられるようになると思います。安心安全な海を楽しんでもらえる環境づくりに、貢献してもらえると考えています

2021年、石川県内では水難事故が26件発生し、2人が死亡している。新たに「海面救助員」に任命された4人は今後、出動命令があれば迅速に救助活動に向かう。

(石川テレビ)

石川テレビ
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