私がお伝えしたいのは、「線状降水帯の予測」です。
6月に線状降水帯の予測情報の発表を始めた気象庁は、7月15日と18日に九州などに相次いで予測情報を出しました。
15日は空振りに終わりましたが、18日には実際に発生し、今後も的中率の向上につとめる考えをしめしています。
ポイントはこちら「予測が外れても、厳重な警戒を」
「線状降水帯」とは、次々と発生する積乱雲群が線状に伸び、長さ最大で300km程度、幅最大で50km程度の強い降水を伴う現象です。
ほぼ同じ場所にとどまり、数時間以上も大雨をもたらすことで、特に梅雨末期などの災害の大部分を占めています。
気象庁は2022年6月に、線状降水帯の予測情報を半日から6時間前に発表する運用を開始し、7月15日、18日と九州などに相次いで予測情報を発表しました。
予報精度は「的中率」と、発表していないのに起こってしまった「見逃し率」で判断することになりますが、気象庁は事前の想定で「的中率」が4回に1回程度、「見逃し率」が3回に2回程度と説明しています。
15日、九州北部・南部を対象に出した予測情報は実際には発生せず、18日に九州北部・南部などへの予測情報を発表した際には、19日午前にかけて福岡などで相次いで線状降水帯が確認されました。
その一方、19日には予測情報が発表されていなかった長崎県の壱岐・対馬でも線状降水帯が発生し、こちらは「見逃し」のケースとなりました。
やはり予測の精度は当初の想定通り、それほどは高くないことを示しているといえそうです。
ただ、線状降水帯が発生しなかった15日も、3時間で100ミリ以上の雨を観測するケースもあり、予測は空振りとはいえ、災害につながりうる状況だったといえます。
気象庁長官は20日の会見で、線状降水帯の予測について「気象状況や発生メカニズムを検証して精度向上に努めたい」と述べる一方、「空振りがあっても早めの対応をすべき」と呼びかけています。
「線状降水帯」がキーワードのようになっていますが、線状にかかわらず災害は発生する可能性があります。
今後予測情報が空振りとなった地域でも、線状ではなくても大雨災害発生の可能性は十分にあります。
「予測は外れそうだから」「線状ではないから」と過小評価するのではなく、線状降水帯の予測情報が出るときは、それだけ災害のリスクが高いものと考えて、日頃からの備えとともに、それぞれの地域、地形の状況にあわせた事前の行動が身を守るために重要となります。