2022年度、クマの目撃情報が福島県で相次いでいる。4月からの3カ月で190件にのぼり、7月には初めて人的被害も発生。県は、すでに発令していた「ツキノワグマ出没注意報」を「特別注意報」に切り替え、市町村に注意喚起の文書を出している。

新幹線がクマと衝突も…目撃情報も相次ぐ福島県

この記事の画像(8枚)

7月11日、福島県にある安達太良山(あだたらやま)。猪苗代町にある登山口から1人で入山した郡山市の40代男性が、下山中にクマに遭遇した。突進してきたクマと接触して転倒、頭に軽いけがをした。2022年度では初めての、クマによる人的被害だ。

これを受け福島県は、すでに発令していた「注意報」を「特別注意報」に切り替えた。市町村に注意喚起の文書を出し、人的被害の防止に努めている。

また、男性が負傷した翌日の7月12日には、午前9時すぎ、東北新幹線が宮城県栗原市内を走行中にクマと衝突。一時、東京駅~盛岡駅の上下線で遅れが出ている。

6月には福島県会津若松市の中心部でも出没するなど、今シーズンはクマの話題が多い。福島県の2022年度の月別のクマの目撃件数は、毎月、前年度の同じ時期を上回っていて、6月までで190件。
要因は、2021年の秋に、エサとなるブナやコナラの実が平年並みだったこと。また、今の時期はクマの繁殖期にあたり、より活発に行動するからだという。

7月10日には、多くの観光客が訪れる浄土平でも、クマが目撃された。近くに観光客や登山客はなく被害はなかったが、浄土平ビジターセンターなどでは、看板やアナウンスで注意を呼びかけている。

県内にクマは何頭いるの? 「カメラトラップ」で推定する生息数

県内では近年、クマの目撃頭数・捕獲頭数がいずれも増加傾向にある。目撃頭数は、2013年度は227頭だったが、2020年度は603頭と3倍近くに増えている。

比例するように、捕獲頭数も増えた。福島県が発表した県内の生息頭数(推定)は、2018年度の1,927頭~6,550頭に比べ、2020年度は4,425頭~7,116頭に増加。

どうやって数えているのだろうか。森の中にカメラを設置して撮影する「カメラトラップ」で、推定頭数を算出しているという。

カメラの前の高い位置に、餌を仕込んだ筒を置き、クマが立ち上がるようにする。こうすることで、クマの胸元の月の模様がはっきり見えるようになる。1頭ごとに違う模様を見て、個体を判別して数えているという。

最近の推定生息数が増えているのは、森の中のカメラトラップを増やしているので、個体を多く識別できたからというのが理由だそうだ。

クマに出くわさないために…痕跡に注意

だが一方で、市街地に出没するクマも多くなっている現状がある。近くにいないか、痕跡に注意が必要だ。
成獣の足跡の平均は、長さ約17cm、幅約12cm。フンは、人間と同じか少し大きめで、人間と同じような形をしている。食べたものがほぼそのまま出てきて、時間が経つほど表面が黒くなるという。爪の跡が、木登りなどで樹木に残っていることもあるほか、時には枝を折って木の実などを食べるそうで、鳥の巣のように木の上に折れた枝が集まっていることもあるという。

近づかないことが重要だが、音を出すなど、出会わない対策が大切と言えそうだ。

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。