シリーズ「名医のいる相談室」では、各分野の専門医が病気の予防法や対処法など健康に関する悩みをわかりやすく解説。

今回は呼吸器内科の専門医、公立陶生病院呼吸器・アレルギー疾患内科の近藤康博副院長が、一般的な肺炎と異なる間質性肺炎について解説。

健康食品や羽毛布団など身近なものが原因となることもあり、肺がんなどの合併症や新型コロナでの重症化を引き起こしやすい間質性肺炎の治療法や予防法を解説する。

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間質性肺炎とは

肺は、肺胞というぶどうの房のようなものの集合体で、外側の皮は風船のような柔らかいもので、皮の中に細かな血管が網目状に張り巡らされています。

そのふどうの房の実の部分に吸い込まれた空気から酸素を取り込んで、皮の部分の血管の中に酸素を吸収する形になっています。

その皮の部分に当たるところを「間質」といいます。

皮の部分が炎症を起こすと「間質性肺炎」になりますし、炎症によって皮が分厚くなったり、硬い状態で動かなくなったものを「肺線維症」といいます。

正常な肺が柔らかいスポンジのようなフワフワしたものだとすると、肺線維症は蜂の巣のようなゴワゴワした感じです。

間質性肺炎だけで実は数100種類の病気があると言われているので、簡単に1つの病気で説明するのは難しいと思います。

一般的な肺炎との違い

肺炎は通常風邪症状から始まり、痰を伴うことが多く、熱が出ますが、抗菌薬によって多くは1~2週間で回復します。ひどくなるまで放っておかなければ、通常は命に関わることは少ない病気です。

一方、間質性肺炎は、ウイルスによる感染症やカビなどを吸い込んだり、が原因で起こる場合や関節リウマチに代表される膠原病など全身性の病気を伴って起こる場合、またいろいろ調べても原因が不明の場合に分けられます。

肺炎だと思って抗菌薬で治療しても良くならず、しっかり調べたら器質化肺炎という間質性肺炎と診断される場合があります。

健康診断や肺がん検診などで間質性肺炎の早期病変が発見される頻度は、60歳以上の喫煙者で4~9%非喫煙者で2~7%と報告されているので、間質性肺炎は決して稀ではありません。

間質性肺炎の初期症状

初期症状としては息切れが特徴ですが、これは別の肺の病気でも似た症状が出ますので、しっかりと診察を受けて、診断することが大切です。

特に息切れは、年のせいだと初めは自己診断する場合があるので、注意が必要です。坂道階段を上るときに、以前よりも息が弾むなというところから自覚症状として発見される場合がありますので、普段と違った息切れを感じることがあれば医療受診するのがいいかなと思います。

進行速度と原因

医学的には1ヶ月以内の経過を「急性の経過」と言います。

それよりも少し長い1~3ヶ月ぐらいの経過を「亜急性の経過」と言います。

3ヶ月以上の経過を「慢性の経過」と言いますが、この3通りの経過を呈する病気です。

実際、多くの患者さんは典型的には「慢性」の経過で病気が進みますが、慢性の間質性肺炎は階段を降りるように悪くなっていきますが、この階段(傾斜)は一定ではなく、緩やかな階段の場合もあれば、急な場合もあり、簡単に予測するのは難しいので定期的に肺機能検査を受けて、病気の進み具合を判断する必要があります。

原因は様々なものが知られていますが、例えば健康食品漢方薬など安心だと思っていると、そういうものでも間質性肺炎が起こることが知られています。

石綿(アスベスト)、鳥の羽鳥の糞羽毛布団ダウンジャケットでも起こすと言われているので、かなり身近なもので起こりやすいと言えます。

体質にもよるので、使っている人が全員間質性肺炎になるわけではありません。カビを吸い込んだり、タバコによっても起こる可能性があるので、できるだけ回避する必要があります。

両親、祖父母、兄弟に原因が不明の間質性肺炎の患者さんがいると、居ない方に比べて何倍も間質性肺炎になりやすいと言われているので、家族歴と言いますが、定期検診をしっかり受けて早めに病気を見付けることが重要です。

間質性肺炎の合併症

慢性の間質性肺炎の患者さんは、間質性肺炎のほかにもいろいろな病気を引き起こす頻度が高いことが知られています。

喫煙歴も多少影響していると思いますが、肺がんを一般の方より起こしやすいので肺がん検診を受けることが重要です。

また、睡眠時無呼吸症候群骨粗しょう症静脈の血栓症。さらに間質性肺炎が進んでくると、肺の血圧が上がってきて、心不全という状態を引き起こすことも知られています。

新型コロナウイルス肺炎は、急性の間質性肺炎の一種とも言われています。良くなっても慢性の間質性肺炎や繊維化が後遺症として残ることも報告されています。

さらに、もともと間質性肺炎があるとコロナウイルスが重症化することも知られています。ですから今まで以上に間質性肺炎という病気を知って、対策を立てることが必要です。

治療法と予防法

治療法としては、ステロイド、あるいは免疫抑制剤などを使って肺の炎症を抑えていく治療と、抗線維化薬といった3種類の薬が中心となって組み立てます。

ステロイド免疫抑制剤は、できるだけ正常に近く戻したいとか改善を期待する治療薬ですが、抗繊維化薬は硬く線維化したものは治せないので、進行を遅らせる目的で使います。よって、目的が違うことを知っておく必要があります。

病気が進むと、動かなければ息は上がらないので安静にしていれば良いと思いがちですが、動かないと足腰が弱って生活の質、活動性が落ちて、どんどん悪性のサイクル、寝たきりに近い状態が早まると言われていますし、寿命を縮めていくので、息切れの症状があってもできるだけ日常の生活はしっかりと歩くことを保っていただければと思います。

体内の酸素が足りなくて苦しいという患者さんもいるので、そういう場合は、動くときに酸素を吸いながら歩くことが大事です。酸素を吸いながらゴルフをする患者さんもいるので、病気と上手く付き合っていただくのが良いです。

肺は空気を吸い込んで酸素を取り込みますが、空気中に含まれるあらゆる物質、埃、タバコ、粉塵などを避けることが重要です。

急に悪くなる原因の1つにウイルス感染があるので、手洗いうがいマスクなどコロナウイルス感染対策やインフルエンザ、コロナ、肺炎球菌ワクチンなどの予防接種が重症化しないことに寄与します。

記事 1 近藤康博

公立陶生病院副院長副院⻑ 兼 呼吸器・アレルギー疾患内科部⻑,患者⽀援センター⻑ 名古屋⼤学医学部臨床教授 昭和60年3月名古屋大学医学部卒業 所属学会:⽇本呼吸器学会 代議員 びまん性肺疾患学術部会 元部会⻑・⽇本呼吸ケア・リハビリテーション学会 理事 東海⽀部⽀部⻑など