福島市に移住した人は4年前は12人だったが、2021年は254人と約20倍にまで増加している。

各自治体がサポートを充実させるなか、福島市では移住した人が移住者を呼び込もうとする動きも出ている。

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仕事も子育ても伸び伸びと

2021年3月、家族4人で東京都から福島市へ移住した浪木克文さん。

浪木克文さん:
きっかけは妻の実家が福島で、お母さんが今1人で住んでいまして、将来的に福島に戻りたいっていう話がありました。それと、上の娘が小学校1年に上がるタイミングで、できれば都会ではなくて田舎で育てたいというのがありました

浪木さんは移住後も東京の企業にリモートワークで勤務し、自ら福島市で会社を立ち上げ、企業のコンサルティングなども手掛けている。

浪木克文さん:
まず通勤しなくていいですしね。ここで仕事して、ちょっと空き時間になったら、庭に散歩に出てみたりとか、ちょっと料理してみたりとかっていうこともできるので。最高ですね、家でできるっていうのは

移住者支援に取り組む福島市。2020年からは、市内の公衆浴場を最大3年間無料で利用できる「湯めぐりパスポート」をスタートした。

さらに、引っ越しにかかる費用の一部を支援する独自の取り組みも始め、移住を希望する人の目的やライフスタイルに寄り添うことで、移住者数は40代までを中心に2020年度から2021年度にかけて3倍に増加した。

定住してほしい…民泊施設で移住体験

浪木さんも支援が後押しとなり、スムーズに移住することができたという。

浪木克文さん:
ここに2棟、建物があるんですけど。右の平屋で2021年9月から「昭和の家ume」という名前で民泊をやっています

浪木さんが移住後に始めた、自宅敷地内の平屋を改装して運営する民泊事業。その目的の1つが、移住へのきっかけづくりだ。

浪木克文さん:
観光で来る人だけでなくて、実際に福島に住んでみる経験をして福島が好きになって、「移住先として考えてもいいんじゃないか」と選択肢に入ってくるんじゃないかなと思って

福島市が2022年度から本格的に取り組む「プレ移住サポート」。

移住を検討する人を対象に1人につき1泊3000円を補助し、民泊施設に滞在しながら福島市での暮らしを体験してもらうのが狙いだ。

福島市役所定住交流課・長島晴司課長:
移住はするんですけど、長く定住に結びつかないっていうのは、やはり最初の入口で体験してもらった方が、より定住していただけるようなイメージを持ってもらえるのかなと思っています

移住者だからこそわかる、地域の魅力

浪木さんが運営する民泊も「プレ移住サポート」の対象施設の1つで、“移住者の視点”で伝えられることがあると考えている。

浪木克文さん:
地元にいる人って、地元の魅力に気が付かないんですよね。当たり前だって全部思っているので。それがいいっていうような感覚にならないんですよね

浪木さん自身も、地域の魅力を伝える場を作ろうと動き出す。

浪木克文さん:
リノベーションしようと思っていて。1階を半分土間のような形にして、オープンスペースで地ビールが飲めたり、地元のキュウリの1本漬けが食べられたり。ここの広場を福島の3大ブランド鶏の丸焼き広場にしたいなと思って

民泊施設の近くにオープンを目指しているコミュニティスペース。移住を検討する人と、地域の人の交流の場にしたいと考えている。

浪木克文さん:
多分、移住者が移住者を呼び込むのが一番良いなと思いますね。外から移住してくると新鮮な目で何がいいのかがわかるし、変化が何かつかめるので。それを今後の「移住したい」って人に伝えていけばいいなと思っています

移住した人が、移住者を呼ぶ。その循環を生み出すための連携とサポートも、移住を進める自治体に期待される役割となりそうだ。

(福島テレビ)

福島テレビ
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