記録的な早さで梅雨が明けると、全国的に最高気温が40度近くなるなど、これもまた記録的な暑さが続く2022年。暑さにやられ、体調を崩して救急車を呼ぶ人も増えている。灼熱の中、対応に当たる救急隊員たちを取材した。

例年より熱中症が増加傾向…脳に障害が残ることも

この記事の画像(14枚)

救急隊が向かったのは、通勤ラッシュの名古屋駅。そこには、ぐったりした様子で車いすに座る30代の女性がいた。

救急隊員:
分かります?目まいする?
女性:
ちょっとふらふらします
救急隊員:
すぐそこに担架来たんですけど、動けそう?

目まいや頭の痛みなどを訴える女性。

救急隊員:
水分はしっかり取っていました?
女性:
え、あ、はい

名古屋市消防局 救急救命士の消防司令補:
ちょっと暑いので、若干の脱水もあったのかなと思います

原因は暑さによる脱水症状。連日の暑さで今、体調不良を訴える人が増えている。

名古屋駅近く、ビル街の一角にある「特別消防隊第二方面隊」。救急だけで、1日で平均約13件の出動がある。
取材に訪れたこの日、消防署の気温計は40度を超えていた。

指令の合図が鳴ると、わずか1分ほどで出動。

救急隊員:
高齢男性、足腰痛い、熱中症疑い、意識あり、警察からの通報です

現場へ向かうと、顔面蒼白の男性が路上に倒れていた。

警察官:
えらく(しんどく)ないなら、自分で立って帰ろうかってなったんですけど
救急隊員:
全然動けないってことね。もう乗せるわ、暑いもんな

急いでストレッチャーに乗せ、救急車へと運ぶ。

救急隊員:
おうちはこの近くですか?
男性:
あー
救急隊員:
今救急車乗っているのわかります?
男性:
わかるよ
救急隊員:
生年月日はいつですか?
男性:
なんで◎△%#!
救急隊員:
病院行くのに大切だからです

少し話がかみ合わない様子だ。救急隊員が病院に電話し、状況を伝える。

救急隊員(病院に電話):
熱が40度あって今、ちょっと動くことができないっていう風な状態

体温が高い患者には「瞬間冷却剤」を使用する。叩いて衝撃を与えると保冷剤に早変わりする道具だ。

太い血管が通っている首筋にあてて、体を冷やす。そのまま「熱中症の疑い」で病院へと運んだ。

名古屋市消防局 救急救命士の消防司令補:
今の事案はですね、70代の男性が路上で動けなくなっているというものでした。話しかけてもまともな答えが返ってこないような状態で。意識障害があるなと判断しました

熱中症は、立ちくらみや足がつるといった症状から始まり、深刻なものでは意識障害を起こして脳に後遺症が残ることもある。

市の消防局によると、熱中症の疑いによる救急搬送の件数が、2022年6月は例年と比べて大幅に増加している。中でも、65歳以上の高齢者が約6割を占めているという。

暑さでこんなケースも…。朝からビールを1本飲んだという男性のケースだ。

お酒は利尿作用などがあるため、水分補給にはならない。炎天下を歩いたためか、脱水症状を起こしていた。

熱中症になったら…救急隊員に聞いた効果的な対応をチェック 

もしも熱中症になってしまったらどうすべきか。救急隊員は、とにかくまずは「体を冷やすこと」が大切だという。

熱中症が疑われる人には、首元や脇などの太い血管が通っている所に、保冷剤などを当て冷却すると良い。それでも熱が下がらない場合は、体に霧吹きのようなもので水をかけて、気化熱で体温を下げることも効果的だとしている。

ただし、嘔吐や反応が鈍いなどといった時は、すぐに119番をするよう呼びかけている。

また、雨で気温が低くなったからといって油断するのは大敵だ。そういう時ほど熱中症に注意が必要だという。

熱中症の危険度を判断する数値として「暑さ指数(WBGT)」があるが、気温・湿度に加え、地面・建物・人体などから出ている輻射熱の効果で計算される。この割合が1:7:2。湿度が7割を占めているのだ。

湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体から熱を出す能力が低くなるため、湿度が高い方が熱中症のリスクが高まる。

例えば7月4日の名古屋の最高気温は27度、湿度は85%で、暑さ指数は「28」と危険レベルに達していた。

名古屋市消防局救急救命士の消防司令補:
一般的なことなんですけど、こまめに水分を取っていただいて、エアコンは我慢せず適切な温度で使っていただくと。体が順応する前に本格的な夏の到来といった感じですので、例年と比べてより一層の熱中症に気を付けた対応をお願いしたい

(東海テレビ)

東海テレビ
東海テレビ

岐阜・愛知・三重の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。