急増している新型コロナの感染者。日本では行動制限という話も出ていますが、感染者の多いアメリカでは行動制限がなく、社会生活を送っています。そのアメリカと日本を比較し、様々な角度でみていきます。

日本より感染者が多いアメリカ「ほとんど誰も気にしていない」何が違う?

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まずは、急増が続く国内の感染者数です。
7月6日に確認された新規感染者は、全国で4万5821人で、重症者が60人。約2ヶ月ぶりに4万5000人を超えました。うち、鳥取県では、過去最多の感染者数215人となりました。

東京では8341人となり、8000人を超えるのは4月14日以来、約3ヶ月ぶり。小池都知事は「陽性者の中に占める、若い人たちの割合が極めて多い」と話しています。そこで、6日の感染者数を年代別でみてみると…

一番感染者が多かったのが20代、続いて30代、40代で、この3つの世代を合わせると6割を超え、若い年代が多い印象を受けます。

一方で、アメリカの感染者数はどうなっているのでしょうか。

「Our Would in Data」によりますと、2022年に入った1月に138万人という高い数字でした。そこから4月に少し落ち着き、5月にかけて少しずつ横ばいが続きました。そして、7月5日には、17万9507人、死者は434人です。6日の日本が4万5000人ですから、日本と比較すると4倍弱。さらに、米疾病対策センター(CDC)によると、2日時点で、変異株「BA.4」「BA.5」感染の割合が合わせて70.1%になったと発表しています。

「BA.5」に関しては、厚生労働省が今後の増加原因になる可能性を指摘するなど、日本では高い警戒意識を持っていますが、WHOが次のような見解を出しています。「ICUなどに入る重症化の人は増えていない」つまり、ワクチンは有効である証拠だというふうに、WHOの幹部は強調しているのです。

実際に人口でみても、アメリカの方が1.5倍ほど感染者が多いのですが、そのアメリカから日本の感染状況はどのように見えているのでしょうか。

コロンビア大学 医学部外科学・加藤友朗 教授
最近差が縮まった印象はうけます。昔は圧倒的にアメリカが多くて、1桁違うなんていう時もありましたが、今回は日本のピークが少し高い気がします。
しかし、アメリカでは実際ほとんど誰も気にしていないというのが現実。話題にはなっていますし、病院で働いていても患者さんが増えた感じはしますが、今はそれに対して何か気にするということはないです

「実際ほとんど誰も気にしていない」というアメリカ。では今回の感染者急増をうけて、日本の医療現場の状況はどのように変化しているのでしょうか。東京の病床使用率をみてみると…

第6波があった2月20日は59.5%と6割近い数字でしたが、7月6日時点では25.4%。重症者用の使用率は、第6波の際は35.1%、6日時点では4.3%という結果となり、数字的にはまだ余裕があるように見受けられます。

感染者“17万人超”でも…行動制限少なく

そして、行動制限についてもアメリカと日本では大きな違いがあります。
アメリカはどのように新型コロナウイルスと向き合っているのか、まずは飲食店です。

日本の場合、基準を満たした認証店については、飲食店での滞在時間、人数の制限はなし。アメリカ・NY州でも、同じく制限はありません。しかし、日本と異なる点は、アクリル板の設置などは、ほぼないということです。
そんな中日本では、飲食店に関しては行動制限をした方がよいのではないかという意見も出てきました。島根県では、7日から県内全域に飲食店の利用制限、最も厳しい場合4人以下、2時間以内の呼びかけも行われます。大阪府の吉村知事も、飲食店の制限は保留しつつも「どうするか本質的に考える」と発言しています。

次に、イベントの違いをみてみます。

日本は、「感染防止安全計画策定」で収容定員まで可能となっていますが、声出しは認められていません。一方、アメリカは収容定員まで可能、さらにマスクなしの場所も非常に多くなっているといいます。
気になる旅行に関しては、日本では6日、政府が全国旅行支援について「総合的に見極めた上で、7月前半中に適切に判断していきたい」としました。

コロンビア大学 医学部外科学・加藤友朗 教授:
デルタ株があったころまでは、それなりの危機感があったのですが、それでも日本に比べたらあまりなかったのかもしれない。いまは行動制限もなく、マスクもしなくてよくなっているので、いまはみんな前のように戻りたいという気はまったくないと思いますね。

Q.ワクチンがあれば大丈夫という意識が高い?
それもあるにはあると思うのですが、実際にはいまの「BA.5」はワクチンを受けた人もかかると言われていて、結果的にワクチンを受けている人と受けていない人の違いがないかもしれないんですよ。重症化が防げるかどうかも、本当の意味でわかってない。
デルタ株の時もそうでしたが、本質的に、人数が増えたら制限をするということを続けるのか、続けないのかということを考える時期にきていて、アメリカは今は人数が増えても、行動制限なしでやろうというふうに国全体が決めてやっているというのが現状だと思います

感染した時場合、アメリカではどう隔離しているのか?期間は、日本と比べるとぐっと短いものになっていました。

感染後&濃厚接触者の隔離に大きな違い…今後の日本はどうなる?

日本では症状がある場合、症状が出てから10日以上、かつ、回復後72時間の隔離が必要です。一方アメリカでは、陽性診断から少なくても5日、6日目に症状がある場合はさらに5日間、となっていて、日本と比較すると全体的に短くなっています。
そして濃厚接触者の隔離の扱いについては…

日本は感染者と接触した次の日から、7日間の行動自粛と健康観察。一方アメリカは、ワクチンを接種していないと5日間の隔離ですが、ワクチンを接種をしていれば隔離はないということで、大きな違いがあります。

コロンビア大学 医学部外科学・加藤友朗 教授:
アメリカで濃厚接触者の隔離が一切なくなって、陽性診断から5日間のみの隔離となった。病院でもそうなのですが、そういった形になって思うと、濃厚接触者で隔離するって続けられるのだろうかっていう気がしますね。
最初の感染で、人が亡くなっていた時期だとわかるのですが、今の時期だと現実的にはかなり難しく、限界があるように思います

(めざまし8 7月7日放送)