今年の猛暑が思わぬところに影響している。青森県八戸市の菓子製造・販売業者「しんぼり」が“暑すぎる”ために、人気商品の生産を休止するという。

それがお菓子「チョコQ助」(Q助)。青森名産の南部せんべいに、チョコレートをかけたもので、せんべいの食感と塩味、チョコの甘味が魅力の一品だ。1袋95グラムで、価格は税別で230円。

チョコQ助(提供:しんぼり)
チョコQ助(提供:しんぼり)
この記事の画像(5枚)

2021年春の発売以来、直営店ではQ助をお目当てに毎朝行列ができ、小売店でも入荷してすぐに買わないと、売り切れてしまうこともあるほどの人気だったが、7月5日で生産を一時的に休止するという。

空調で冷却しても「製品になりません」

休止の理由は暑さということだが、どのような形で影響しているのだろうか。しんぼりの担当者に経緯を聞いてみた。

――Q助はどのような経緯で生まれたの?

私どもはもともと観光客へのお土産品を主に製造・販売していました。コロナ禍でそうした商品が売れにくい状況になり、地元の一般向けに作れないかと開発したものがQ助になります。

Q助の中身はこんな感じ(提供:しんぼり)
Q助の中身はこんな感じ(提供:しんぼり)

――暑さのために生産を休止するのはどうして?

Q助は製造ラインで生産していますが、今年の夏は暑さでチョコレートが固まり切らない状態になってしまいました。チョコが固まらなければ、包装もできないので製品になりません。安定的な供給ができないので、一時的に休止することにしました。
 

――Q助の生産の流れは?暑さはどう影響する?

生産は南部せんべいを焼くところから始まり、せんべいにチョコをかけます。ベルトコンベアで流しつつ冷却し、チョコが固まると計量して包装します。冷却は部屋全体の温度を空調で冷やすのに加えて、スポットのクーラーや送風機で風を当てます。ただ、今年は暑さで空調を最低の19℃に設定してもそこまで下がっていないようで、冷やしきれないのです。

チョコが固まらないという(画像はイメージ)
チョコが固まらないという(画像はイメージ)

――発売は2021年だが、昨年夏はどうだった?

Q助ははじめ手作業で不定期に作っていて、2021年の夏は製造していませんでした。販売数の増加もあって秋に製造ラインを組んだので、2022年は実質的に初めての夏になります。

冷却設備を用意したいけどお金がかかる…9月の生産再開を目指す

――暑さに対策することはできるの?

用意できる設備としては、冷却用のトンネルがあるのでそれを設置できればいいのですが、お金がかかります。解決できればと思いますが、今すぐとはいかない状況です。
 

――在庫の状況は?生産再開のめどはたっている?

以前から供給が間に合っていなく、在庫はほとんどありません。取引先には個数を限定して発売してきましたが、直営店(八戸市・八食センター内)の販売は7月5日に、小売店への卸しも7月上旬で一時的に終わる予定です。生産は暑さ次第ですが、気温が落ち着きそうな9月には再開できればと思います。

暑さが落ち着けば生産再開の見込みも(画像はイメージ)
暑さが落ち着けば生産再開の見込みも(画像はイメージ)

――人々の反応は?伝えたいことはある?

Q助は以前から「もう売っていないのか」などというお声もいただいていて、生産の休止は大変残念に思っています。早期に再開をしたいと思っております。秋に向けて、量産への整備も進めていきたいと思いますので、お待たせしますが、少しお待ちいただければと思います。
 

通常であればQ助はしんぼりの直営店、青森県と岩手県の一部の小売店で販売されているほか、関東でも青森のアンテナショップで、ごくたまに登場するという。

Q助の製造ラインを組んで初めて迎える夏に早すぎる暑さもあり、今回一時生産休止となったが、早期の再開を目指すとしている。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。