高級食材のウニに、いま異変が起きている。
鳥取県沿岸でウニが大量発生。漁業関係者は大喜び…かと思いきや、駆除作業に追われている。なぜをウニを駆除するのか、その理由に迫る。
海水温上昇でウニが大量発生か
鳥取・琴浦町の漁港。
岩と岩との間にはウニがびっしり。濃厚な甘みが特長のムラサキウニ。「大漁」「大喜び」かと思いきや…漁業関係者が、鉄の棒でウニを叩き潰している。
漁業関係者:
ウニ多い多い!迷惑だな。本来、海藻がたくさん生えているけど、それがなくなって海が白くなってしまう
鳥取県の沿岸では2、3年前からウニが大量発生。県によると、個体数は以前は1平方メートルに5個程度だったが、今ではその10倍の50個の場所も。境港や浦富(岩美町)など県内14の地域で増え続けているという。
ウニが増えることで、エサとなっている海藻が激減。エサが足りないウニは身がやせてしまい、スカスカに。これでは出荷できないため、適正な数にまで減らす必要がある。ただ、影響はウニだけにとどまらず…
漁業関係者:
海藻がなくなると、アワビやサザエが育ちにくいし数が増えない
ウニがエサとしている海藻は、アワビやサザエなどのエサでもあり、アワビやサザエの漁獲量が減少する事態にもなっている。
高級食材であるはずのウニ…鳥取県沿岸では今、漁業関係者を悩ます厄介者となっている。ウニの大量発生は、なぜ起きたのか?
鳥取県漁業調整課・氏良介課長:
海水温の上昇によって、ムラサキウニは南方系の種類だが増殖してきた
温暖化による海水温上昇で、ウニの生息エリアに変化が。ムラサキウニは、本来 高い水温を好み、南の海に生息していた。
しかし海水温の上昇で、北へ北へと生息地が拡大したのではないか。さらには、温暖化が海の生態系を変えてしまったのではないか、と県は推測している。
厄介者となったウニを実際に食べてみた。
本田航太記者:
味は普通のウニで濃厚。身がスカスカなだけで味は問題ないだけに、捨ててしまうのはもったいないように感じます
神奈川県ではエサをキャベツで代用
なにか有効活用は出来ないのか。
神奈川県が取り組むのが、海藻の代わりに県内特産のキャベツをエサにした養殖。キャベツで育ったウニは海、藻の磯臭さがなく、ウニが苦手な人でも食べやすく育つという。
神奈川県水産技術センター・西川道代さん:
ウニの雑食性、何でも食べるという点を利用して、海藻以外でも育てられないかと思った。愛媛県ではブロッコリーの茎、山口県ではアスパラガス、福岡県では廃棄野菜を利用しての取組みが広がっている
しかし、鳥取県は…
鳥取県漁業調整課・氏良介課長:
(ウニはデリケートで、駆除の際)手荒に扱うと養殖する時に長生きしない。海藻の減少が待ったなしの状況なので、集中的に駆除していきたい
鳥取県によると、ウニの駆除に必要な経費は年間1,700万円。大金を投じて、高級食材を廃棄しているのが現状。
求められる有効活用。県は今後、活用策を探っていきたいとしている。
(TSKさんいん中央テレビ)