繊維の街として発展した愛知・一宮市。生真面目すぎる土地柄なのか、市の公式の観光サイトに「自然の景観にはやや恵まれていない」と正直に書いてしまうほど。
ちょっと控えめな一宮市だが、地場産生地「尾州織物」のブランド力強化に力を入れるなど、今、町の魅力発信に力を入れている。
市場に流通しない生地も…「尾州織物」の魅力発信
この記事の画像(39枚)市内のメーカーから高品質な布を集め、販売しているショップが入る「リテイルビル」。
ここに、約3000種類の布や糸を販売する素材のマーケット「アール・マテリアル・プロジェクト」がある。
一宮市を中心とした尾張西部、岐阜西濃地方は、古くから毛織物の一大産地で、品質の高い「尾州織物」で知られている。
アール・マテリアル・プロジェクトの担当者:
珍しい生地が多いので、お洋服を作られたり。小さな端切れで、小物とかお人形さんの服を作られる方も
この店は、一般的には出回らないアパレルメーカー向けに作られたマス目状の生地「マス見本」や、50年前に織られたビンテージものの生地もある。
建物の2階には、江戸時代の織物業から続いているという「国島コンセプトテーラー」が。
ここでは、オーダーメイドで紳士服を仕立てることができる。
「リテイルビル」は、古くから一宮の一大産業であった「尾州織物」の魅力を伝えている。
個性的な店が揃う街に…こだわりの木製家具の店
一宮市には、「せんい」という住所がある。
約50年前に、ここに繊維業の卸売商業団地「一宮せんい団地」が作られ、現在もその面影を残している。
現在はリノベーションした個性的なお店が揃う「せんい」に、こだわりの家具とインテリアのお店「木工房すえひろ」がある。
店内には、深みのある美しい木目が人気の「ウォールナット」のテーブルやイスなど、こだわりの家具が並んでいる。
「木工房すえひろ」店長:
木目とは違って、キラキラと波を打っているような模様。「さざなみ杢(もく)」とか「ちぢれ杢」という自然が作り出したもの
個性的な家具以外に、時計も。
弦楽器の形をした時計が、優しく時を刻んでくれる。
木のぬくもりに包まれた「木工房すえひろ」は、「木のある暮らし」を伝えている。
スパイスコーヒーに手作りパン…モロッコ料理店「アルザルカ」
毛織物産業が盛んだった一宮市では、商談に喫茶店を利用することが多かったため、喫茶店の数も多い。名古屋に伝わったモーニングの文化も、発祥は一宮だ。
そんな一宮市にあって、モロッコ料理店「アルザルカ」は、異国情緒あふれる空間でモーニングが楽しめるお店だ。
オススメは、スパイスコーヒーにモロッコパンが付く「モロッコモーニング」。
スパイスコーヒーは、見た目は濃厚に見えるが、辛くもなく意外とサラっとした味だ。
カリっと焼かれたアツアツの手作りモロッコパンからは、香ばしい香りが。パンに塗るものとして、オリーブオイル、苺ジャム、オレンジジャム、アップルシナモン、クリームチーズ、一宮産の蜂蜜の中から、好きな味を3つ選ぶことができる。
追加料金がかかるが、上記の他にアーモンドとアルガンオイル、一宮産の蜂蜜をペーストにしたモロッコ伝統の味「アムル」もある。
「アルザルカ」は、一宮にいながらモロッコ気分が味わえるお店だ。
ライトアップで明日の天気も…市民に愛される「ツインアーチ138」
「国営木曽三川公園 138(いちさんはち)タワーパーク」に、一宮のシンボルである「ツインアーチ138」がある。
2つの美しいアーチを持つ高さ138メートルのこのタワーの展望台からは、一級河川「木曽川」を望むことができる。
タワーでは「明日の天気予報ライトアップ」を行っており、翌日の天気が晴れの時は“ピンク”に、曇りの時は“緑”、雨の時は“青”にライトアップされ、市民に知らせている。
木曽川のほとりに建つ「ツインアーチ138」は、町のシンボルだ。
テント内にトイレやエアコンも完備…最新のグランピング施設
2022年3月、木曽川の大自然を満喫できる「ウッドデザインパーク いちのみや 紡(つむぎ)」がオープンした。
「ウッドデザインパーク いちのみや 紡」では、手軽に大自然を満喫できるグランピングが楽しめる。
各テントには、トイレやバスタブはもちろん、エアコンも完備されている。
また、専用スペースでは、準備不要な手ぶらバーベキューが。
バーベキューグリルや炭などはレンタル可能。食材も注文できるので、アウトドアビギナーでも安心して楽しめる。
「ウッドデザインパーク いちのみや 紡」では、ホテルや旅館とは一味違う、非日常が味わえる。
ドリップバッグでコーヒーの美味しさを…「BASE COFFEE classic」
最後に、“喫茶店の町”一宮らしいコーヒーの専門店をご紹介。コーヒー豆やコーヒー器具を販売する「BASE COFFEE classic(ベースコーヒークラシック)」。
このお店が特に力を入れているのが、手軽に淹れることができるドリップバッグで、世界の様々なコーヒーが揃っている。
店長:
最近アジアのコーヒーが高品質になってきている
少し“漢方”の風味がする、珍しい中国・雲南省で生産されたコーヒーもあった。
また、オリジナルのドリップバッグを作ることもできる。好みのブレンドを、オリジナルのパッケージで。粗品やノベルティとして制作する人が多いとのこと。
「BASE COFFEE classic」は、ドリップバッグでコーヒーの美味しさをたくさんの人に届けている。
(東海テレビ)