東京都足立区に特に多いという「タコのすべり台」がSNSで話題になったが、名古屋市の公園には、山の形をした「富士山すべり台」が多く設置されている。

なぜ名古屋にだけ富士山すべり台が多いのか。調べると、人口が急増していた昭和40年代、公園に設置するために市の職員が設計した名古屋オリジナルの遊具であることがわかった。

階段代わりの「石段」も特徴 共通点は4つ

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まずは、名古屋市中区の「裏門前公園」へ。

この公園に設置された富士山すべり台は、硬いコンクリート製の赤色で、裏には階段の代わりに足をひっかける石段がある。

中川区にある「昭和橋公園」にも、同じく赤い富士山すべり台があった。

共通する特徴は4つ。「コンクリート製」で「石段」があり、「傾斜が急」で、なぜか「赤色」ということ。

さらに調査をすすめると、2つの山が連なっている富士山すべり台もあった。

実はカラー豊富? 3色に塗り分けられたタイプも存在

個性豊かな富士山滑り台は、名古屋にどれくらいあるのか。富士山すべり台を研究して20年、2021年には富士山すべり台の本まで出版した牛田吉幸さんに話を聞いた。

富士山すべり台の専門家・牛田吉幸さん:
今まで120カ所くらい作られたけど、今でも90カ所くらいは残っています。吹上公園の富士山が第一号。昭和41年に作られて、ここを発祥として名古屋市内に広がった

全国にあるタコの滑り台と違い、富士山滑り台のほぼ全てが名古屋市内にあるという。ところで、富士山といえば青のイメージだが、なぜ赤なのだろうか。

牛田吉幸さん:
富士山と呼んでいるけど、名古屋市では図面に「プレイマウント」と書いてあり、別に富士山を意図しているわけではない

特に富士山が意識されているわけではなく、見た目が似ていたために、いつの間にか富士山すべり台と呼ばれるようになったという。

確かに牛田さんのアルバムには、白やグレー、さらに3色に塗り分けられたタイプも存在し、富士山のような青もあった。

多くの子供が一度に滑ることができるオリジナル遊具

なぜ名古屋市にだけこれほど多いのか。

牛田吉幸さん:
名古屋市の職員が設計した、名古屋市のオリジナル遊具

昭和40年代に名古屋の人口増加とともに公園も増え、プレイマウントというすべり台が市内に次々と作られた。

牛田さんによると、たくさんの子供が一度に滑ることができるようにと、この形が採用されたとのこと。子供の数が多かった昭和の公園の象徴ともいえる。

小さい子供でも安心 進化系「富士山すべり台」はウレタン製

刈谷市の「岩ケ池公園」には、今の時代ならではの進化系の富士山すべり台があった。

刈谷市役所の担当者:
楽しく安全に遊んでもらいたいと、柔らかい素材を

2018年にできたこの富士山すべり台は、小さい子供でも安心して遊べるように、コンクリート製ではなくクッション性の高いウレタンで作られていた。

名古屋の公園に、なぜ富士山すべり台が多くあるのかを調べると、昭和40年代に市職員が市内の公園に設置するために設計した、名古屋オリジナルの遊具であることがわかった。

(東海テレビ)

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