沖縄県は23日、太平洋戦争末期の沖縄戦から77年となる「慰霊の日」を迎えた。糸満市で開かれた追悼式に出席した岸田首相は、戦没者を悼むとともに、「本土復帰から50年を迎えたが、課題は今なお残されている」などと述べた。
平和祈念公園での追悼式に、首相として3年ぶりに出席した岸田首相は挨拶で、戦没者に対する哀悼の意を表した。
そして、「20万人もの尊い命が失われ、沖縄の美しい自然、豊かな文化は容赦なく破壊された」として、「私たちが享受している平和と繁栄は、貴い犠牲と、苦難の歴史の上にある」と述べた。
その上で、5月に本土復帰50年を迎えたことに触れ、「この間、沖縄は様々な困難を乗り越えながら、着実に発展してきた。しかし、県民所得の向上、子どもの貧困の解消などの課題は、今なお残されている」として、「潜在力を最大限に引き出し、強い沖縄経済が実現されるよう、沖縄が21世紀の『万国津梁』の地となるよう、沖縄振興に取り組んでいく」と決意を述べた。
『万国津梁』は首里城の鐘に刻まれた文章の一部で「世界の架け橋」を意味する。
岸田首相はさらに、沖縄の米軍基地について「基地負担軽減の目に見える成果を一つ一つ着実に積み上げていく」と強調。「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」として、「世界の誰もが平和で心豊かに暮らせる世の中を実現するため、不断の努力を重ねる」と誓った。(画像は、沖縄全戦没者追悼式で献花をする岸田首相・正午すぎ 糸満市)