舞踊家とデザイナーが協力して、新潟市秋葉区の商店街に健康と教養を広げる施設を開設。“ぼくらの公民館”をコンセプトに活動する様子を取材した。

「この街が好き」ふるさと拠点に活動する舞踊家夫婦

2021年2月、新潟市秋葉区にある堀出神社。
新型コロナウイルスの収束を願うダンスを奉納したのは、2020年から新潟市秋葉区を拠点に夫婦で舞踊家として活動する土田貴好さんと小倉藍歌さん夫婦。

堀出神社にダンスを奉納する土田貴好さん・小倉藍歌さん(2021年)
堀出神社にダンスを奉納する土田貴好さん・小倉藍歌さん(2021年)
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2018年に文化庁の新進芸術家研修員として2年にわたり、ドイツのベルリンで自由な体の動きで表現する芸術・コンテンポラリーダンスを学んだ貴好さんと藍歌さん。

ドイツで2年間コンテンポラリーダンスを勉強
ドイツで2年間コンテンポラリーダンスを勉強

2022年5月、2人の姿は新津商店街にあった。

土田貴好さん:
新潟市秋葉区出身で、この街が好きで、ここで地域の人と活動できるのがうれしい

土田貴好さん
土田貴好さん

ふるさと新津を活動拠点に選んだ貴好さん。東京出身の藍歌さんは、商店街の印象を…

小倉藍歌さん:
シャッターが閉まっている店があるので少し寂しいけど、街に可能性を感じている

小倉藍歌さん
小倉藍歌さん

目指すは“公民館的役割” デザイナーの男性と複合施設開設へ

新型コロナウイルスの収束が見えない中、ダンスを仕事にしてきた2人。

土田貴好さん:
新型コロナウイルスの状況で、舞踏家としては大変

活動が制限される中でも、2人はただ耐えていたわけではない。新津商店街にある、かつて呉服店だった空店舗にダンススタジオを開設する準備を進めていた。

新津商店街の空き店舗にダンススタジオ開設
新津商店街の空き店舗にダンススタジオ開設

小倉藍歌さん:
平日の夕方は商店街を小学生などが歩くので、芸術と生活が近くなる場所にしたい

子どもたちも通る商店街に芸術を
子どもたちも通る商店街に芸術を

そして、この店舗を共同運営するのはデザイナーの高橋トオルさん。高橋さんは、新潟市中央区からデザイン事務所を移転することに。

デザイン事務所を移転した高橋トオルさん
デザイン事務所を移転した高橋トオルさん

ダンスとデザインを通じて、商店街に健康と教養を広げる施設「FLAT」を6月にオープンさせる予定だ。

3人が運営する複合施設『FLAT』
3人が運営する複合施設『FLAT』

高橋トオルさん:
カフェも併設する。公民館は行政施設がやっているが、自分たちで“ぼくらの公民館”をやってみるのも面白いと思った

高橋トオルさん
高橋トオルさん

FLATは、大勢が交流する公民館的な役割を目指す。

施設開設前に挨拶回り…商店街からは期待の声

商店街を歩く貴好さんと藍歌さん。商店街の店舗として仲間入りするため、挨拶は欠かせない。

商店街の店主に挨拶
商店街の店主に挨拶

野本時計店 野本一郎さん:
今まで商店街に来なかった人が、FLATができることで訪れることを期待している

野本時計店 野本一郎さん
野本時計店 野本一郎さん

ダンスとデザインが融合したコミュニティースペースに、商店街の先輩も期待している。やまいし果物店の石月勝さんからは差し入れも。

やまいし果物店 石月勝さん(右)
やまいし果物店 石月勝さん(右)

小倉藍歌さん:
温かく迎えてくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱい。商店街に貢献しなければと思う

街に活気を…“ぼくらの公民館”から広がる人の輪

5月28日、FLATのお披露目を兼ねたイベントには、子どもたちの姿もあった。

FLATでダンス教室
FLATでダンス教室

藍歌さんと楽しく体を動かすと、子どもたちの笑顔がスタジオに広がって、その様子はガラス越しに商店街へ。

外からFLATをのぞく人たちも
外からFLATをのぞく人たちも

地域の人:
次の世代を担う子どもたちが商店街に集うということは、すごくワクワクする

地域の人:
人がいっぱい歩いて、もっと盛り上がるといい。応援している

そして、スタジオに暗幕が張られると、そこは特別な空間に。

ダンスを披露
ダンスを披露

商店街で子どもや大人が楽しく踊り、商店街で芸術に触れる。FLATが目指す、“ぼくらの公民館”の一面だ。

訪れた人:
商業的なことばかりではなく、芸術面でも街を活気づけてくれたらいいなと思う

ダンスを鑑賞していたのは、農業を営む高塚俊郎さん。

農家 高塚俊郎さん
農家 高塚俊郎さん

2020年の春、ダンスの仕事が制限されていた貴好さんと藍歌さんに田植えを手伝ってもらうことで、収入が減った2人を支援した。

農家 高塚俊郎さん:
ダンスの仕事が忙しくて田植えを手伝ってもらえないくらいなのは、すごくうれしい

土田貴好さん:
地域の方々に支えられているという実感が湧くし、もっともっと頑張ろうという気になる

小倉藍歌さん:
どの世代もどんな人も、“ふらっと”立ち寄れる場所。ここから街を好きになったり、街を循環したり、そういうことが起きていったらいいなと思う

商店街で提供するのは健康と教養。“ぼくらの公民館”が踊り始めた。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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