新型コロナウイルスの感染拡大が3年目に入った。福井県内の新規感染者は減り、行動制限を緩める動きも出始めている。
重症化の割合が下がり、以前ほど脅威だと感じなくなっているのが背景にある。新型コロナとの共生に向け、日常生活が戻り始める県内を取材した。

重症化リスク低下により検査のあり方が変化

街の人:
外出しやすくなった。閉塞感がなくなって気分的にも変わった

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街の人:
たくさん人がいるときはマスクするが、外して歩くときもある

学生:
感染者が1人出ても休校にはならないので、(休校措置の)厳しさが変わった。コロナに慣れてきたのだと思う

街の人:
にぎやかなのが好きなので、いい加減見切りをつけて、正しく恐れるかたちが大事なのでは

県民の危機感が下がる中、県が実施する検査のあり方も変化している。
感染者が急増して保健所業務や検査体制がひっ迫していた2022年3月上旬、濃厚接触者でも無症状の人は希望がなければ検査を行わない方針に切り替えた。重症化予防を優先させたためだ。
さらに5月中旬からは、濃厚接触者でも無症状者は原則検査を実施していない。

県健康福祉部(感染症対策)・西田育美課長:
(濃厚接触者は)基本的に7日間の自宅待機をしてもらうので、感染していたとしても(他者に)うつす可能性は低い。必要な方に必要な検査を受けていただく。検査の資源を有効に使っていく

県が対応を変えた背景には、重症化リスクの低下がある。重症化しにくいという「オミクロン株」の特性に加え、3回目のワクチン接種率の上昇、経口治療薬が登場して外来での治療も可能となったことがあげられる。
県内では4月8日を最後に新型コロナによる死者はなく、重症者も4月30日以降、ゼロが続いている。

県健康福祉部(感染症対策)・西田育美課長:
重症化させないことが重点的な方針なので、症状が出ないままなら治療の必要がなく、検査も行わない

学校現場でも制限緩和が進む

方針の転換は学校現場でも始まっている。
福井市教育委員会によると、市内の小中学校ではこれまで、感染者が1人でも確認された時点で5日程度の学級閉鎖などの措置をとってきた。
ただ最近では、複数が感染し、さらに広がりが想定される場合に限って学級閉鎖などを実施していて、その日数も2日程度に短縮している。

市内の小中学校でとられた学級閉鎖や休校措置は、3月は141回に上ったが、5月は13回と10分の1以下に減った。
一方、児童生徒・教職員の感染者数は3月が603人、5月は453人と、それほど減少していない。市教委は「なるべく対面の授業日を減らしたくない」と強調する。

また、課外活動の制限緩和も進んでいる。坂井市・春江小学校では、修学旅行の行き先を児童たちが決める取り組みが始まった。

児童:
次は奈良県の発表です。興福寺は自分で行きたいと強く思って選んだ。国宝が見られるので絶対行ったほうがいい

候補には県外の観光地も含まれている。県教委によると、半数以上の小中学校で修学旅行の行き先を県外に戻す動きが出ている。

意識や対策が新型コロナ前に戻り始めている。感染症との共生について、県の考えを聞いた。

県健康福祉部(感染症対策)・西田育美課長:
コロナは特別な病気ではなく、インフルエンザのような病気であることを考えると、過度に恐れる必要はなく、対策をとった上で日常の生活を送ってほしい

(福井テレビ)

福井テレビ
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