愛媛県東温市の井内地区。お墓や仏壇のお供えとしておなじみの「シキミ」が特産だ。このシキミが新たなカタチに生まれ変わった。地域活性化を目指す住民の取り組みを取材した。

住民の7割が栽培 山だからこその高品質

名護谷希慧アナウンサー:
新緑のきれいな季節になりました。東温市の山あいの地域、井内に来ています。目の前の棚田がきれいですね

愛媛県東温市の山あいにある井内地区
愛媛県東温市の山あいにある井内地区
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地域おこし協力隊・岩橋洸平さん:
やっぱり5月くらいの時季が一番きれいだなって、僕もいつも思います

美しい棚田が広がる東温市の井内地区は、人口200人に満たない小さな集落だ。

人口200人未満の集落に広がる棚田
人口200人未満の集落に広がる棚田

名護谷希慧アナウンサー:
水の音がすごく気持ちいいですね

地域おこし協力隊・岩橋洸平さん:
井手がずっと張り巡らされていて、水の流れがすごく整備されています。昔からの知恵といいますか

「井出」とは、田の用水として水の流れをせき止めている場所。

名護谷希慧アナウンサー:
それだけお米に力を入れている地域ということですよね

地域おこし協力隊・岩橋洸平さん:
お米もあるんですけど、お墓にお供えする「シキミ」もすごく有名で

井内地区の特産品 墓や仏壇に供える
井内地区の特産品 墓や仏壇に供える

お墓や仏壇へのお供えとしておなじみの「シキミ」は、井内地区では住民の実に7割以上が生産に携わっている地域の特産品。シキミ農家の角谷茂昭さんと甘井邦博さんに話を聞いた。

名護谷希慧アナウンサー:
シキミって年中あるイメージですが、時季としては?

シキミ農家・角谷茂昭さん:
新芽が1年に4回出るんですよ。今はちょっと赤っぽい、これが新芽です。新芽がずっと伸びたら緑色になるんですよ

地域おこし協力隊・岩橋洸平さん:
色のつやとか生き生きとした感じが、全然違うなと思います

シキミ農家・角谷茂昭さん:
やっぱり標高差があるでしょ、400~500メートル。寒暖差がお米やシキミの栽培に適していて。良品質なものがとれるんやろな。お正月迎える時に切って仏壇に立てたやつが、春までもつよ。途中、花が咲いてな

シキミ農家の甘井邦博さん(左)と角谷茂昭さん(右)
シキミ農家の甘井邦博さん(左)と角谷茂昭さん(右)

名護谷希慧アナウンサー:
お正月から春まで!

シキミ農家・甘井邦博さん:
見ての通り段々畑でしょ。坂なので、シキミ自体の(水の)吸い上げがうまくできあがってるんだろうと思う

井内だからこそ育てることができる高品質なシキミは今、新しいカタチに生まれ変わり注目されている。

廃棄される葉を贈答用の線香に 住民が手作り

地域おこし協力隊・岩橋洸平さん:
さっきのシキミを乾燥させています

案内された部屋には、大量のシキミの葉があった。

シキミ農家・菅野正義さん:
色が全然変わってなかろ?

名護谷希慧アナウンサー:
きれいな緑ですね

シキミ農家・菅野正義さん:
乾いてきたら、茶色に順に色が変わってくるので。生花として整えるために3分の2は捨てるような状態

以前はシキミの葉が大量に捨てられていたという
以前はシキミの葉が大量に捨てられていたという

名護谷希慧アナウンサー:
販売できるのは3分の1だけ?

地域おこし協力隊・岩橋洸平さん:
いらない葉を落としていく作業があるんですけど、有効活用しようって

実は、シキミは出荷を前に大量の葉が捨てられてしまう。この廃棄される葉の有効活用を目指して、地域住民と東温市、愛媛大学などが約6年前から、共同で新たな製品の開発に取り組んできた。

どんな新製品なのか。まずは、乾燥させたシキミを機械で細かく粉砕する。

名護谷希慧アナウンサー:
すっごくさらさら、ふわふわですね

粉状になったシキミ
粉状になったシキミ

シキミ農家・菅野正義さん:
できあがったのがこれです。「思季美」とネーミングして

美しい四季のある産地・井内の思いを込めて完成した贈答用のお線香、その名も「思季美」。5月14日にお披露目されたばかりだ(5000円)。

名護谷希慧アナウンサー:
いい香りですね。何だろう、すごく優しくて

シキミ農家・菅野正義さん:
自然の、ほんのり甘いような

香料などの余計なものは加えず、シキミが持つ自然の香りが特徴の線香は、加工のみ愛媛県外で行うが、原料を作るところから箱詰めまで、全て井内地区の皆さんが手がけていて、線香の一本一本に地域活性化への思いがこもっている。

名護谷希慧アナウンサー:
ようやくここまで商品化して、今はどんな思いで?

シキミ農家・菅野正義さん:
達成感はあるんじゃけど、まだ道半ば。どうしても少子高齢化で跡継ぎがおらんからね。収入源にして、若いもんを呼び込もうという考えではおる

農家レストランでは自慢の味でおもてなし

地域おこし協力隊・岩橋洸平さん:
ここは井内地区で唯一、お食事がとれる場所です

農家レストラン「ぼたん茶屋」。店主の永井さんが作る井内米を使ったどぶろくは、数々の賞に輝く逸品だ。永井さんの妻・里美さんが迎えてくれた。

名護谷希慧アナウンサー:
どぶろくが有名ですが、また違う、甘酒もあるんですね

ぼたん茶屋・永井里美さん:
どぶろくのこうじと棚田米、井内米だけで作っています

名護谷希慧アナウンサー:
すごくどろっと。ちょっと濃厚です。ぷちぷちした食感がいいですね。こんなに甘いんですね

甘さがガツンとくる甘酒
甘さがガツンとくる甘酒

ぼたん茶屋・永井里美さん:
全てこうじの力です

加熱をしていないため、生きたこうじ菌をいただける。体が喜ぶ「生甘酒」は、アレンジメニューも。

ぼたん茶屋・永井里美さん:
甘酒シェイクになります。自家製のブルーベリーで作っております

名護谷希慧アナウンサー:
すごくきれいな色。おいしい!ブルーベリーの甘酸っぱさがちょうどいい。甘酒だけだと、甘さがガツンときてましたが、すっきりしています

見た目も綺麗な甘酒シェイク
見た目も綺麗な甘酒シェイク

自慢の味でもてなしてくれた里美さんは、シキミ線香の開発にも参加していた。

ぼたん茶屋・永井里美さん:
ほんの片隅でもいいので、「この線香はどこでできたんだろう」「東温市、井内ってどんなところだろう」と思って、来ていただいたら。おばちゃん、おじちゃんだけですけど、とびっきりの笑顔でおもてなししたいと思います

(テレビ愛媛)