自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。

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「幼稚園のお誕生日会で、大きくなったらなりたいものを聞かれた息子が答えたのは…『パトカーになりたい!』」


子どもたちに一度は投げかけたことがあるだろう「将来、何になりたい?」という質問。
でも「パトカーになりたい!」ってどういうこと!?「警察官になりたいのかな?」と聞き直してみても、「パトカーになって速く走りたい!」とあくまでもパトカーそのものになりたい様子…

他にもネット上には「ぶどうになりたい」「グラタンになりたい」などなど、思わず笑ってしまう回答がたくさん。子どもたちには無限の可能性があると思うけれど…それってもしかして「好きなもの」を答えているだけ?子どもたちにとって「大きくなったらなりたいもの」って、意外と難しい質問だったりする?
育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

「何になりたいか」は「何に変身したいか」

――「パトカーになりたい」…子どもの将来の夢が不思議な回答ばかりなのはナゼ?

子どもの言語発達の過程を見ると、具体的なものを先に覚え、抽象的なものは後から覚えていくことが分かります。たとえば、ぶどう、りんご、バナナ…はわりと簡単に覚えますが「くだもの」は後回しです。たくさんの“くだものたち”を知ることで、その上位概念である「くだもの」という捉えにくい言葉を理解するようになります。

このように、子どもは形として捉えにくいものはイメージしづらく、よって「お仕事」とか「職業」というのも理解が難しいことになります。ましてや“お仕事”は“くだもの・おかず・乗り物”と比べても、自分の生活に直結する概念ではありませんから、なおさら突飛な答えが生まれやすいのだと思います。

小さい子ほど「何になりたい?」と聞いたら「何に変身したいか」という感覚で捉えるように思います。そもそも「仕事とはなにか?」という問い自体が難しいので、小さいうちは「仕事の内容」よりも、見た目の制服などがイメージになっていることが多いですよね。

あとは絵本などでは、パトカーやぶどうなどが登場人物として擬人化されていることも多いものです。それらに目や口があって、おしゃべりをする、絵本の世界ではよく見られる描写です。擬人化されたパトカーが現場に直行しているのを見たら「お~カッコいい!僕もなりたい」と思うこともあるのでしょう。


――「パトカーになりたい!」って言われたら…大人は応援してあげるべき?

そうですね、大事なのは大人の固定概念で縛らないことだと思います。
「パトカーになったら何したい?」「グラタンになったらどんな感じかな?」とオープンクエスチョン(答えの範囲を制限しない尋ね方)がその子の想像の世界を引き出すのにおすすめです。その後は「もっと知りたい、教えて~」という気持ちで会話を引き出せるといいと思います。

最後に少し脱線しますが、先にお話ししたように、子どもは具体的な言葉を先に学びますので、その上位概念との関係を遊びの中で学んでいけると“見えない存在”の学習はしやすいと思います。親子で一緒に「りんご・ぶどう・パトカー・警察官・グラタン」などの絵を書いて、それの上位概念に当たる「くだもの・のりもの・しごと・おかず」、このような言葉に仲間分けするゲームはいい学びになると思います。

子どもたちへの「大きくなったらなりたいものは何?」という質問は、実は「何に変身してみたい?」という質問と同じなのかも。
パトカーが活躍するアニメや絵本を見て「パトカーってかっこいいな、よし、警察官になろう!」と連想できるのは、実は子どもたちにとってはまだちょっと先のこと。「パトカーってかっこいい!」という気持ちが、そのまま「パトカーになりたい!」という言葉で現れてくるのだ。

そして、そんな子どもたちに「パトカーにはなれないよ!」「パトカーじゃなくて、警察官になってみたら?」と“ツッコむ”のはちょっと待って。
まずは「もしそうなれたら、何をしたい?」など、子どもたちの創造力をたっぷり刺激する会話を楽しんでみてほしい。

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※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。