自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。
今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。
「スーパーに行くとはしゃいで走り回ってしまう3歳の息子。注意してもなかなか聞かず、棚の商品を落としたり、お客さんにぶつかってしまうことも…」
お友達のおうちや遊園地などの楽しい場所、普段あまり行かないおじいちゃんおばあちゃんの家など、“非日常”の場でついついテンションが上がってしまう…というのはわかるけれど、いつもお買い物に行くスーパーでも大騒ぎしてしまう子どもたち。
お菓子におもちゃ、子ども的に気になるモノがたくさんあるのかも知れないけれど、できれば手をつないでゆっくりお買い物できるようになってほしい!というのがパパママの本音。
スーパーではしゃいでしまう子どもたちの気持ちと、パパママができる対処法について、育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。
ポイントは「入店前」にお約束すること
――子どもたちがスーパーではしゃいじゃう理由って?
スーパーは子どもたちにとって刺激の多い場所です。大好きなお菓子があるし、見たこともない魅力的なパッケージもたくさんある。楽しい音楽もかかっているし、いい匂いもしてくる……と五感をバンバンと刺激されるわけです。
買い物で刺激を受けるのは大人もよくあることで、たとえば、新しいお店でお目当ての商品を手にしたら、すごく嬉しいですよね。ただ、子どもと違うのは、それで走り回ったり、大声を出したりはしない点です。気持ちの制御ができるからです。子どもだと、その興奮を制御するのが苦手だったり、そもそも抑える必要があるとも感じていなかったり……。それにより、パパやママが困ってしまうのです。
――子どもたちとゆっくりお買い物したい…パパママはどう働きかけると良いの?
このような状況は、その場で事が起こってから対処をしようとすると難しいことが多いものです。ママが注意して、その場では商品から手を離しても、10秒後にはまた別の商品を触っていることもあるでしょう。そういうとき、「今ダメって言ったでしょ!」「何回言ったら分かるの!」と注意したくなりますが、それで言うことを聞けるかどうかは、その子のお家でのふるまいが大きく関係しています。
日頃ご家庭で、親が注意をしたときに、その指示が通るのであれば、外でも効果があるはずです。ポイントは“事が起こってから”アクションを起こすのではなく、まだ入店する前の“事が起こっていない”状態のときからケアをし始めることです。入る前にお約束を確認し、それを守っている状態をちゃんと声でフィードバックしていく形がおすすめです。
たとえば、スーパーに入る前に「お店の物は触らないで見るだけだよ。触ったらカートに乗るからね」のように約束し、入店する。そして触らずにお買い物できている間は「触らなくておりこうさんだね」「上手にお買い物できているよ。ママ嬉しいな」とほめていく。それでももし触ってしまったら、約束通りその回はカートに乗せる、このような感じです。
脱線してからだと叱ることしかできませんが、その前の「お約束を守れている時間」をしっかりほめていけると、子どもの方もそれが嬉しいのでいい行動を継続しやすくなります。その際は、いきなり完璧は求めずに「お約束を守れている時間」が、5分、10分、15分…とだんだん長くなり、最終的に「ずっと触らずに買い物できた」にたどり着くことを目指してください。
一方、もしお家で親がいくら言っても言うことを聞かない状態が日常であれば、残念ながら外出先でも同様なパターンになりがちです。そういう場合は、スーパーでの悩みだけを解決しようとすると無理があるため、まずはお家の中のお約束を守る経験を積んでいくことが重要になります。
どこのお家にも、「○○はいいよ、でも××はダメ」というルールがあると思います。そのようなお約束を守れるようになると、外出先での注意喚起も通りやすくなりますので、まずはそこから取り組み、1つ上の方法に取り組まれると導きやすくなります。
子どもたちがスーパーでついはしゃいでしまうのは、大人たちにとっては見慣れた場所のスーパーも、子どもたちにとっては刺激がたくさんのワクワクする場所だから。
そのため、大事なのは「入店する前」。一度興奮してしまった子どもたちに「走っちゃダメ!」「大きな声を出しちゃダメ!」と叱ってもなかなかうまくいかないものだが、入店前に「走ったり、大きな声を出したらダメだよ」などとルールを作り、約束が守れたらしっかり褒めてあげることで、子どもたちも落ち着いて行動しやすくなるはず。
まずは家庭の中で小さなお約束ごとを守れるように練習することで、子どもたちと一緒のお買い物タイムが楽しめるようになるはずだ。
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「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?
・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?
などなど、あなたの投稿が漫画になるかもしれません。
※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。
(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。
(漫画:さいとうひさし)