様々な分野のトップの食事に密着し、食を通して人柄や考え方に迫るシリーズ。今回は、金沢市の老舗住宅メーカー、ニューハウス工業の村上哲也(むらかみ・てつや)社長のランチをのぞいてみた。
北陸で56年 ニューハウス工業とは
木にこだわり、安全安心の家づくりを進めるニューハウス工業。1966年に石川県で創業したニューハウス工業は、地域密着型の企業。施工実績は1万5000棟を超えて北陸トップクラスだ。

村上社長は、時間を見つけては自社のモデルハウスを訪れる。
村上社長:
こちらはシンプルなデザインで、軒裏に天然の板を使っているんです。木が一番、人間の暮らしにあう素材かなと思います。

村上社長は7年前、創業者の父から会社を引き継いだ。「家」についてこう語る。

村上社長:
家っていうのは、ある意味「箱」。家族の成長に合わせた家が必要になってくる。家はあくまで「脇役」だと思います
「暮らす人がいてこそ、家は完成する。その暮らしに寄り添う企業でありたい」それが創業から56年受け継がれる思いだ。

社長に同行すると、本音も…
2021年に創業者の父が亡くなり、名実ともに会社を引っ張る立場になった村上社長。移動中の車の中でカメラを向けると、良き相談相手でもあった父がいなくなった今の思いを語ってくれた。
村上社長:
何がいいのかって答えがない。決断した責任は必ず自分に返ってくる。だから、その決断を後悔してはダメだなと、前向きじゃないと…

村上社長はスケジュールが許せば、ほぼ毎日決まった場所で昼食をとる。本社から車で約15分。到着したのは、大きな窓が印象的な2階建ての建物だ。

実はここ、社長の自宅だ。村上社長は、昼食は妻・珠美さんの手料理を食べるのを日課としている。45畳の広々としたリビングダイニングは社長の自慢でもある。

木にこだわる企業の社長宅とあって、床はチークの無垢材を使用。

もちろん自社のニューハウス工業で建てたもの。木造だが、大規模建築と同等の強度を誇る構法で建てられ、柱が少なくても耐震性と耐久性に優れたニューハウス工業の技術の粋が詰まっている。
村上社長:
住んでみて改めて、開放感があり、非常に高性能だと感じました
先代の父の頃から「自宅で昼食」が当たり前
村上社長にとって、昼食は大切な時間だ。
村上社長:
お昼は、午前と午後でリセットできる時間。ちょっと一服できる時間かなと思います
この日は鮭の西京焼きをメインにした和食。新型コロナの感染拡大前、会食は多い時で週に4日、1日で2カ所のダブルヘッダーもあったという。夜はどうしても外食が多くなる社長にとって、家庭料理は一番のごちそうだ。

実は、先代も同じ理由で自宅で昼食を食べていたそう。村上家では「ランチは自宅」が当たり前なのだ。

村上社長:
こうして家で食事をしないと、栄養のバランスが保てないですね。毎日昼帰ってくるって、家内には苦痛かと、ははは
妻の珠美さん:
結婚してからずっとなんで、慣れました
村上社長は家に仕事を持ち込まないタイプ。夫婦の会話は、もっぱら3人の子供たちのことで、昼食時はパパの顔に…

社長にとって…自宅とは?
家のリビングダイニングで過ごすのが、一番の癒しだと話す村上社長。社長にとって、自宅とは…
村上社長:
自宅は「家族が一緒にいられる空間」。いずれ、子供も巣立っていくでしょうけど…ははは。だからこそ、この時間を大切にしないといけないなと思います
社長自身が、家づくりの中心は家族であり、人の暮らしだと実感しているのだ。実は、会社のロゴとなっているコアラの親子も家族の絆を表している。

“家は一生に一度の買い物ではない”に込めた思い
2022年2月に発表した新商品のコンセプトで、村上社長は”家は一生に一度の買い物ではない”と掲げた。その言葉の意味は、施主との関係は“建ててお終い”ではなく、“生涯に渡って寄り添い続ける”ものだという思いからだった。
村上社長:
たぶん創業以来、56年間ずっとやってきたこと。これが当たり前のこと。家は基本的なことさえ、しっかりしていれば50年でも、あるいは100年でも長く使い続けられます。家って、すごく大事なもの。時期がきて、リフォームするなどしたときに、お客様と信頼できる関係であり続けたい

自宅で約1時間。村上社長は、昼食の後、再びオフィスへと向かっていった。
(石川テレビ)