2022年3月、岐阜県の八百津町に、約150年前の古民家を改装したカフェがオープンした。この町に移住して来たフランス人と日本人の夫婦が営むこの店は、フランスの家庭料理が味わえると、多くの人で賑わっている。
日仏の融合…のどかな町に「古民家フレンチカフェ」
岐阜県南部にある八百津町。飛騨川や木曽川が流れ、総面積の8割を山林が占める自然豊かな町だ。
この町に2022年3月にオープンした「カフェ ビズ」。古民家を改築した店内は、吹き抜けの天井に大きな窓がある開放的な空間だ。
女性客A：
すごく落ち着きます。外を見ながらケーキ食べながら、ぼーっとしていたいなって
女性客B：
素敵、この辺にはないもの。雰囲気いい
ティータイムに人気なのが、パンナコッタやタルトなど5つのプチデザートが楽しめる「カフェ グルモン」（1000円）。様々なお菓子を少しずつ味わえると女性に人気。
この店を営むのは、フランス人のアディエ アレクサンドルさん、愛称アレックスさんと、日本人の三恵(みえ)さん夫婦。
三恵さん：
日本とフランスの融合で、ここに来たらフランスを感じていただけるようなカフェに
のどかな町にオープンした、「古民家フレンチカフェ」。
アレックスさんお手製ランチ…お母さんとアパートで作っていた味
朝8時。厨房には、ランチの準備をするアレックスさんの姿が。たまに三恵さんが手伝うこともあるが、ほとんどはアレックスさんが仕込みから調理までを行っている。
アレックスさんが作る、この日のランチプレートは、「キッシュロレーヌのランチ」（1200円 ドリンク付き）。
ベーコンとチーズのシンプルな味わいが魅力のキッシュロレーヌに、ローストしたカモ肉とバルサミコ酢がアクセントのサラダ。
そしてレンズ豆のスープと、塩味のカヌレサレもついている。色鮮やかなランチプレートを作るアレックスさんだが、実はシェフの経験はない。
アレックスさん:
ずっとフランスのお母さんとアパートで作っている。だから本当のフランスの家庭料理
三恵さんのフランス留学が出会いのきっかけ
アレックスさんは、フランス南部の街・サン＝ジュスト＝サン＝ランベールで生まれ、子供の時からアニメやゲームの影響で、日本に興味を持っていたという。
子供を保育園に預けて戻って来た三恵さんも、お庭の手入れなど開店の準備を手伝う。そんな三恵さんは岐阜市出身で、大学時代にフランスへ1年留学した。
三恵さん:
もともと両親が岐阜市でフランス料理店を。将来はフランスに関わる仕事につきたくて、ワインが有名なボルドーに留学していて…
アレックスさんがブティックで働いていた頃に留学生だった三恵さんと出会い、2017年に結婚。
アレックスさんが日本に移住し、2人の夢であった自分たちの店をオープンさせた。
「フランスの故郷に似てる」…自然豊かな町の古民家を自ら改装
ランチタイムは、アレックスさんが作るフランスの家庭料理を求め、多くの客で賑わう。
女性客C：
カヌレも、すごく柔らかい
男性客A：
味とかも優しめのものが多かったので、すごく食べやすい
まだオープンからほどないが、多くの客が訪れるきっかけとなったのが、SNSで紹介されている古民家を改装したおしゃれな店内。
アレックスさんは、約150年前の明治時代に建てられた古民家を気に入り、カフェを開くことを決意。
太い柱を除いては、ほとんどを知り合いの職人や友人に手伝ってもらいながら、3年かけてリノベーションした。
アレックスさんが八百津町に店を構えたのには、ある理由があった。
アレックスさん：
私の（フランスの）町も八百津と似ている。川ある、山もある、森もある。すごいよ、めっちゃ似てる
三恵さん：
八百津町のことはそれまで知らなかったけど、来てみて、すごく人も優しいし、病院も保育園も近くにあるし…。自然も多くて、子育てもしやすい
サポート制度が2人の夢にフィット…町おこし制度利用して起業
2人の八百津町への移住を後押ししたのは、八百津町役場が行っているある制度だった。
八百津町役場の地域振興課 小島将司さん：
移住を考えてみえて、ホームページに事業に関する夢が書いてあって、「どんな制度がある？」って問い合わせから入った。ちょうどうちは「起業型・町おこし協力隊」という制度があって…
三恵さん:
岐阜県内で起業する場所を探していた。八百津町の「地域おこし」っていうのが、2人のプロジェクトにフィットすると。すごく親切にしてくれて、アレックスも小島さんだったから移住を決めたと
2人が利用した「八百津町地域おこし協力隊」は、八百津町に移住してビジネスを始め、町を盛り上げてくれる人を募集していて、町は住居のあっせんや資金などの支援を行う。この制度を利用した2人の事業は、今のところ順調に進んでいる。
小島将司さん：
起業する人が八百津町に出てきて、観光ルートでつながるといいな
町も移住してきてくれた若い人たちに期待をかけている。
アレックスさん：
いっぱいお客さん来た、ありがたい。お客さん来て、私は料理作って、お客さんうれしい
三恵さん：
この店が八百津のフランスの発信になるような、フランス語教室とかお菓子教室とか、色んなことを頑張っていきたい
八百津で夢を叶えた夫婦…。アレックスさんと三恵さんは、のどかな町に賑わいとフランスの風を吹かせている。
古民家フレンチカフェ「カフェ ビズ」は、岐阜県加茂郡八百津町伊岐津志にある。
（東海テレビ）
