大手鶏卵会社から、現金500万円のワイロを受け取った、収賄罪に問われている元農林水産大臣の吉川貴盛被告(71)の判決公判が、午前10時から開かれた。東京地裁は、ワイロを認定し、懲役2年6カ月・執行猶予4年、追徴金500万円の有罪を言い渡した(求刑・懲役2年6カ月、追徴金500万円)。

起訴状などによると、吉川被告は、農林水産大臣だった2018年11月~2019年8月、大手鶏卵会社「アキタフーズ」の元代表から、3回に渡って、合わせて500万円のワイロを受け取ったとされる。現金の受け渡しは、大臣室などで行われたという。

きょうの判決で、東京地裁は、受け取ったワイロの趣旨について、国際的に注目されていた家畜をストレスのない環境で飼育する「アニマルウェルフェア(動物福祉)」をめぐって、農水省内の反対意見をとりまとめ、国内の業者が不利にならないようにするための謝礼だったと認定。

また、鶏卵業者に対する公庫の資金貸し付け条件緩和にについて、有利に取り計らって欲しいとの目的だったことも認めた。

その上で判決では、吉川被告が、鶏卵業界側から、具体的な陳情を繰り返し受ける中で、これらのワイロの趣旨を認識していたにもかかわらず、「安易に収賄行為に及び、受け取った現金を返還しようともせずに全て費消していて、利欲的犯行と言える」と指摘。

そして「農林水産行政に対しする国民の信頼を大きく害し、重大な職務を担う大臣として、その自覚が欠けていたという他ない」と厳しく批判した。

裁判で、無罪を主張していた吉川被告は、現金500万円を受け取ったことは認めていたが、「政治献金だった」としてワイロ性を否定していた。この主張について判決では、事件以前から、法律に定められた手続きに則らずに、政治献金として100万円単位の現金を繰り返し受け取っていたことを指摘。

その上で、「今回のワイロも政治献金と思ったなどという、不合理で、一般的な常識からかけ離れた弁解に終始していて、政治家としての規範意識は低く、反省もしていない」と断罪した。