政府がマスク着用の新たな見解を発表。屋外なら距離を確保できなくても、会話がほとんどなければマスクは必要ない。また、人との距離が2メートル以上確保できれば、少しの会話があってもマスクは必要ないとしました。

街中でウォッチングしてみると、マスクを外しても問題ないシチュエーションでも、多くの人がマスクを着け続けていることがわかりました。マスクを外すのか、つけるのか?線引きの難しさが見えてきました。

「マスク慣れ」「周囲の目が…」

5月20日、政府は新型コロナ対策のマスク着用について、新たな方針を発表。

後藤厚生労働大臣:
徒歩での通勤など、屋外で人とすれ違うことはあっても、会話がほとんどない場合はマスクを着用する必要がないことを明確化しました。

「基本的な感染対策としてのマスク着用の位置づけは変更しない」とした上で、屋外では周囲と2m以上の距離が確保できなくても、会話をほとんど行わない場合は「着用の必要はない」としました。

新たな方針を受けて、街ではマスク着用に変化があるのでしょうか。めざまし8が街の様子を取材しました。

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まずは、22日午後7時ごろの渋谷。マスクをしている人は100人中96人、していない人が4人。
ほとんどの人がつけているという状況でした。

女性:
慣れてしまったのもあるし、お化粧を下の方はしてなかったりとか。マスクの中はちょっと手抜きしてたりするので。

マスクを外せない理由として、女性ならではの意見も。また渋谷の若者からは、方針があいまいだという声もありました。

女性:
「外してもいい」じゃなくて、「外しましょう」って言ってくれないと。

続いて、21日正午ごろの皇居周辺。走っている人を見てみると、100人中23人の方がマスクを着用して運動、77人の方がマスクを外して運動していました。

今回の政府の方針では、ランニングなど離れて行う運動や鬼ごっこのような密にならない外遊びなども、「着用の必要はない」としています。では、運動中の方はマスクを外すことをどう考えているのでしょうか。皇居周辺のランナーを取材すると、その線引きの難しさが見えてきました。

運動中のマスクは息苦しさもあるため、両方のタイプが見られる中、極力マスクをつけるという人たちは…。

30代男女:
なるべく、本当に苦しい時以外はつけてようかなと思います。周りの人がマスク付けてなくても私自身はどうとも思わないです。ただ、マスク付けてなくてちょっと嫌だなって思う人がいたらそれは嫌なので、自分はつけてようかなっていう考えですね。

外したいと思っていても、周囲を気遣って外さないといいます。新たな方針を受けて、戸惑う声も多く上がっています。

映画館での「2m距離」は大きなハードル

映画館「シネマネコ」 菊池康弘代表:
マスク着用の時よりも厳しくなってくるので、劇場はなかなか、難しいのではないのかなと思いますね。

政府の方針に困惑の声を上げたのは、東京・青梅市にある映画館「シネマネコ」代表の菊池さん。政府は屋内でのマスク着用について、2m以上を目安に、人との距離が確保できて会話がほとんどない場合には、「着用の必要はない」としています。

映画館「シネマネコ」 菊池康弘代表:
劇場内で物理的に2m空けるとなると、定員10人とかになっちゃうので。劇場はうちに限らず、ノーマスクは結構難しいのではないかと。

実際に間隔を2m離すと、何席分空けなければいけないのでしょうか。

リポート:
2m空けると、こちらの映画館では約4席分になります

この劇場の座席数は全部で63席。

仮に前後左右で2m程度の距離をとると、8人程度しか客を入れることができません。

緊急事態宣言中は1席空けての営業。宣言解除後は通常に戻していましたが…。

映画館「シネマネコ」 菊池康弘代表:
実際、映画を見る時もマスクを外してというのは、ちょっと難しいのかなと思います。一カ所に集まって映画を見るとなると、やっぱりマスクをしてない人に対して不安を抱く人もいるし、「マスクしてほしいな」って思う方もいると思うので。そのあたりは難しい判断になってくるのかなと思います。

屋外でも屋内でも、マスクを外す線引きは今後も議論が続きそうです。では、国が定めた新方針とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

基準不明確…屋外と屋内でどう使い分け?

まずは「屋外」の考え方です。

2m以上を目安に距離が確保できる場合は、当然マスクは必要なし。また、2m以上距離が確保できていて、会話がほとんどない場合も当然必要ありません。一方、2mの距離が確保できない場合は着用を推奨しています。しかし、会話がない場合はマスクは必要ないということでした。

続いて、マスク着用における「屋内」の考え方を見ていきます。

2m以上を目安に距離を確保できている場合、会話をするケースではやはり着用を推奨しています。ただ、屋内でも会話はほとんどない場合は、着用の必要がないとしています。

また2mの距離が確保できていない場合、会話をするケースはマスクを推奨。電車内や公共交通機関など人が密集している場所は、会話がなかったとしてもマスク着用を推奨しています。

では、屋内でのマスク着用なしという場合は、どういった具体例があるのでしょうか。

厚労省担当者:
例えば、人の少ない図書館。1人で学習・読書している場合は着用の必要がないのではないか

また、あまり会話がない美術館に関しても…。

厚労省担当者:
混雑時、近い距離に人がいれば付けてほしいが、ある程度すいていて、距離が取れる場面では必ずしも必要ないのではないか

マスク着用に関しては人々の意見が割れている中、今回の政府の発表は外す・外さないの判断基準の線引きが曖昧な印象を受けます。

(めざまし8 5月23日放送)