北陸新幹線の金沢開業から7年、ようやく金沢市を訪れる観光客が便利になりそうだ。
人気観光地・金沢の意外な旅事情
北陸鉄道は5月17日、石川県金沢市内の観光地を巡る周遊バスに全国交通系ICカードを導入する方針を示した。

北陸鉄道の宮岸武司社長は、金沢市の村山市長に要望書を手渡し、次のように述べた。

北陸鉄道 宮岸武司社長:
何とか利用者の利便の向上、サービス向上をしなければいかんと。全国交通系ICカードを入れるのがいいんじゃないかなと
宮岸社長は、観光客向けの「城下まち金沢周遊バス」にSuicaなど、全国交通系ICカードを導入するため金沢市に支援を求めた。

交通系ICが使えない…観光客から不便の声
実は、北陸鉄道のバスは全国交通系ICカードが使えない。全国的にも早い段階で独自のICカードを導入したことが、逆に全国共通のICカード導入を難しくしてしまったのだ。
しかし、新型コロナウイルスの影響で利用客が減少し、売り上げも以前の6割ほどに。さらに最近は燃料費の高騰が追い打ちをかけ、2期連続の最終赤字となった。そこで全国交通系ICカードを導入し、観光客の利用促進に繋げようと考えたのだ。

周遊バスであれば現在、支払いは現金またはフリー乗車券だけなので、導入しやすいというのがその理由だ。観光客に話を聞いた。
記者:
全国交通系ICカードは使えないんですよ。
観光客:
そうなんですか。どうしよう…

中には、今回の金沢旅行のために全国交通系ICカードを購入した男性もいた。
男性観光客:
あ、そうなの?ガッカリ

観光客:
小銭がなかったので、両替が面倒くさいなって。ICOCA使えたら、いいですね。

周遊バスから路線バスへ 導入に市長も前向き
全国交通系ICカードに関しては、2015年の北陸新幹線の金沢開業の際にも導入が見送られた経緯がある。北陸鉄道では、まずは周遊バスでの実現を目指し、その後、路線バスにも導入を検討したいとしている。

北陸鉄道 宮岸社長:
使えるようにならないのかという要望は、私どももずっとお聞きしていました。少しずつ観光客が戻りつつあります。反転攻勢の大きな目玉になるんじゃないかなと感じています。ぜひ、よろしくお願いします
金沢市 村山市長:
お金を出す手間があったり、乗務員の方とのやり取りがあったり、そこに時間がかかるとバスの定時制の確保も危うくなっていくので、交通をスムーズにするという意味でも価値のあることではないかと

協力に前向きな姿勢を示した村山市長。導入費用については今後、北鉄側が示すということだ。

観光客の利便性向上で、さらに金沢の人気と注目度も上がるのか。期待が高まっている。
(石川テレビ)