沖縄県内で販売されている土産物。その素材は2021年の秋以降、沖縄などの沿岸に大量漂着した軽石だ。製作を手掛けたのは鳥取市内の土産物メーカー。鳥取だからこそできた厄介者の商品化技術を取材した。

社会問題の軽石を加工 かわいらしいお土産に

沖縄の守り神「シーサー」のマグネット商品。

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本田航太記者:
こちらが着色前のマグネットです。触るとザラザラしていますし、表面はぽつぽつと穴が開いています。こちらの材料、実は沖縄に漂着し社会問題となっている軽石です

沖縄では太平洋の海底火山が噴火した影響で、2021年秋から大量の軽石が漂着。漁業や観光に深刻なダメージを与えている。

厄介者であるこの軽石の有効活用に向け立ち上がったのが、鳥取市の土産物メーカー「モルタルマジック」。粉末を固める独自技術で様々な商品を開発している。

モルタルマジック・池原歩美さん:
素材を調合して混ぜてます。サラサラだった軽石が、混ぜると固まりました。独自の技術で何でも固められます

「固められないものはない」と語るその言葉通り…。

モルタルマジック・礒江隆司さん:
こちらが鳥取砂丘の砂で、これが桜島の火山灰。全国で14種類くらいの素材を固めた。固められないものは今のところないですね

この会社では、これまで桜島の火山灰や砕いたシジミの貝殻など、様々な「処分に困る素材」を商品化してきた。

質感を残したまま形成 全国の「困った」を解決

なぜ素材を固める技術を持っているのか?

モルタルマジック・礒江隆司さん:
このモアイがきっかけです。通常、接着剤で固めると砂の表面がテカテカしてしまうが、2万回の接着剤の調合を経て、砂の質感を残したまま形成する技術を開発した。この応用で素材を変え展開しています

12年前、地元の観光協会から「鳥取砂丘らしいお土産を作れないか」と相談があったのがきっかけだった。3年の試行錯誤を重ね、自社で専用の接着剤を開発した。

砂丘の中でも国立公園の区域外の砂を許可を得て採取。固める技術を使って商品化に取り組んだ。そうして出来上がったのがこのモアイ像。きめ細かな砂の質感を残しつつ固めたこの商品が、全ての出発点だった。

砂丘から始まった、鳥取だからこそ実現できた技術力。今後はその技術で全国の「困った」を解決していく。

モルタルマジック・礒江隆司さん:
この大きなモアイも砂丘の砂で出来ています。全国47都道府県で、特化した素材や処分に困っている素材を使ってお土産を形成できれば面白い。和歌山県の梅干しの種の依頼も来ていて、個人的に面白いなと

観光客はその土地ならではの思い出を求めている。「処分に困る素材も活用次第では、ご当地に縁のあるオンリーワンの土産物となる」。軽石のシーサーは、逆転の発想の大切さを訴えている。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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